第6章「Sなの? Mなの?」
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 ふと鼻先が湿り気を感じ取った。やはりビデオを観ながら興奮していたようだ。私がペロッと舌で舐め上げると、ピクンと反応を見せた。

「ぬいぐるみで隠してオナニーしてたでしょ」

 嫌々と愛佳はブンブンとかぶりを振った。が、下着の濡れ具合を見るにそれが嘘なのは明白だった。普段から自分の気持ちに正直なところがあるからか、身体まで嘘をつけない体質のようだ。

「ふうん。じゃあこの濡れ具合は何かしら、ね!」

 下着をずらし、指を挿れた。小さな穴にズブリと指が飲み込まれていくと同時に、ヌルヌルした感触が伝わった。
 そのまま出し入れをすると、愛佳の押し殺した声が聞こえた。見上げると愛佳はジャージの裾を噛みながら必死に耐えていた。

 イカせてやろう――ムクムクとサディスティックな一面が顔を覗かせると、私は鼻息も荒く指先に神経を集中させる。
 一本だった指を二本に増やし、狭い穴に突っ込む。ザラザラとした肉壁を掻き分け、指をくの字に曲げる。いわゆる『Gスポット』を刺激してやるためだ。
 私自身、まだ男性器が生えていない頃に行っていた自慰では、軽く刺激をしていた程度だったが、相手が愛佳だということもあり思い切りやろうと指先を動かした。

 ジャージの裾をこれでもかというほど強く噛んでいた愛佳も次第に口元に力が入らなくなったようで、テレビに映る女性のように甘い声を上げ始めた。
 ちょうどテレビでは女性が男性に責められているところだった。同じようなシチュエーションに、私は先に愛佳を果てさせてやろうと闘志を燃やした。
 一応これでもまだ女性だ。敏感なポイントは分かっているつもりだし、そう人とは違わないはずだ。クリトリスの包皮を剥き、舌で責めてやると一層愛佳の声が大きくなった。

 テレビと目の前で起きていることがリンクしている。さすがに近所に声が聞こえては困ると、テレビのボリュームを下げたが、一向に静まるどころか愛佳の声だけが大きくなった。
 さすがに「静かにして」とはいえないから、とにかく早く絶頂させてやろうと指先はもちろん、舌先にまで意識を極限に集中させた。

 やがて、愛佳が人一倍大きな声を上げると、ビュッと水を吹いた。私の手はおろか、ソファがビシャビシャになった。
 ちょうどテレビでも女性が絶頂を迎えたようで、愛佳と同じように水を吹いた。これがいわゆる潮吹きというやつだと分かると、快哉を叫んだ。

「やった! やったよ!」

 自慰でも潮吹きなんてしたことがなかった私は、動画を撮ってやればよかったと後悔した。

「ゆっかーのばかぁ」

 愛佳は恥ずかしさからか息を荒くさせながら顔を両手で覆った。私はテレビを消すと、一瞬だけ真っ暗になった隙を突くように固く勃起した“奴”を外へと出した。

( 2018/04/25(水) 19:06 )