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「頭のいい優佳ちゃんなら分かってるくせに。どうせエッチなことにも勉強熱心なんでしょ」
自慰を毎日しているという縦筋に対して息を吹きかけると、嬌声にも似た悲鳴が聞こえた。
「知りませーん。この体勢はほんと恥ずかしいから止めてくださいよぉ」
ジタバタと暴れ始める優佳ちゃんに力負けしないように、私もグッと手首に力を込めた。
「カマトトぶっちゃって。いけない子にはお仕置きが必要ね」
唾液を舌の上にたっぷりと溜めるつもりだったが、緊張しているせいか思うように溜まらなかった。仕方がないので、乾いた舌のまま縦筋をペロペロと舐め始めた。
「いー!」
いくら自慰は毎日していても誰かに舐められた経験などないのだろう。初めてを奪っている気がして、私の心臓は破裂しそうなほど高ぶりを見せている。
それと呼応するように萎えかけていた男性器が復活し始めた。鈴口からは透明な液体が滲んでいる。
「毎日オナニーしているのにどうしてこんな綺麗な形と色をしているのかしら。羨ましいわ」
すっかりと男性器の後ろに隠れてしまった私の女性器はお世辞にも形がいいとはいえなかった。ビラビラが歪な形で、アワビによく似ている。まだ経験していないというのに。
「菅井さんダメ! 舐めちゃダメ!」
「何でよ。私ばっかり舐められたんじゃ不公平でしょ」
「不公平でもいいですからぁ」
ジタバタと暴れる優佳ちゃんの足が私の顔に直撃した。あやうく舌を噛みそうになった。
「あっ、ごめんなさい」
こんな時まで律儀に謝るとは。私は「いいよ」と言おうとしたが、ムクムクとサディスティックな感情が顔を覗かせた。
「先輩に対して蹴りを入れるなんていい度胸ね。最近の若い子は怖いわねぇ」
「ち、違います。わざとじゃありません」
ホラー映画に追い詰められたみたいに顔を恐怖で引きつらせながら左右に振る優佳ちゃんに笑いそうになりながらも、私は“演技”を続ける。
「違うわけないでしょ。実際に蹴ったんだから。あやうく舌を噛むところだったのよ」
「だからごめんなさいって。ほんとにわざとじゃないんです」
「謝って済むのなら警察はいらないのよ!」
声を荒げた瞬間、ピュッと液体が飛ぶのが見えた。
まさかイってしまった? 怒られて絶頂するなんてドM中のドMではないか。不審に思う私の目に入ったのは、涙と同時に尿を漏らす優佳ちゃんの姿だった。