06
自慰とは比べ物にならないほどの快感だった。ザラザラとした舌の感触が心地いいなと思ったら、徐々に唾液が出てきたのかジュポジュポと音を立て始めた。
サラサラとした美波ちゃんの頭を押さえつけながら、いつの間にか腰が前後に動き出した。快楽を知っているわけじゃないのに。
これが本能というやつか。私はもはや本能のままに身体を動かすだけだった。
「んぶぅ! んぶぶぅ!」
強制的に口の中に入れられ、あまつさえ前後させられているのだから彼女は苦しいに決まっている。分かっているのに、身体が止まらないのだ。
「ああ、気持ちいい。みいちゃん、気持ちいいよ」
下腹部からの甘い刺激に脳を蕩けてしまいそうだ。このまま射精をしたらさぞかし気持ちいいだろう。
そうぼんやりと思っていたらふいに射精感が押し寄せてくるのが分かった。波のような、それでいて突然鳴り響く雷鳴にも似た突発さに私は身を委ねることにした。
「出そう。みいちゃん、私出そうだよ」
「んばぁ! んんんぶぅ!」
嫌々しているのか、美波ちゃんは顔を力の限り左右に振った。そうすると口の中に入った男性器までも左右に振られた。
「あっ、出る、もう出ちゃう!」
皮肉なものだ。拒絶しようとしたら逆にそれがまた違った快感を生んでしまうのだから。
私は彼女の喉の奥まで男性器を突き刺し、熱いスペルマを放った。
「んんんんんん!」
ドクドクと音さえしそうなほどの勢いだ。男性器が生え、自慰をするたびに精液の量に多少の違いが発生することが分かった。それは疲労感だったり、自慰の回数によって異なるが、その他にも興奮度で変わることを知った。
今の射精は間違いなく、量が多いはずだ。見ることは出来ないが、感じることは出来る。下腹部に甘い痺れのような余韻だけが残ると、私はようやく男性器を抜いた。
「ぶふぅ、ぶふぅ、おええええええええ」
豚のような鳴き声がしたかと思えば、美波ちゃんはその場で苦悶の表情を浮かべたまま嘔吐しかけた。が、出てくるのは精液であろう白濁の液体だけだった。
「だ、大丈夫?」
ふと我に返った私は彼女の背中を擦った。洋服越しからでも分かるほど、彼女の背中は冷たくなっていた。
ヒューヒューと風の音のような息遣いに、私はとんでもないことをしてしまったのだと思い知らされた。メンバーに無理やり男性器を突っ込み、あまつさえその中で射精をしてしまうなんて。
「あああああ……」
ビシャビシャと音が聞こえた。嘔吐してしまったかと思ったが、床に広がっているのは透明の液体だった。
美波ちゃんがおしっこを漏らしてしまっているのだと気が付いたのはそれからすぐのことだった。
普段なら射精をすれば落ち着くはずの男性器が、いつまで経っても固いままなのはどうしてだろう。
地獄絵図のような光景なのに、私の頭に浮かんだのはそんな疑問だけだった。