第1章「ペーチャンネル」
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 梨加ちゃんの顔に射精をしてしまったあの日から、一段と自慰の回数が増えてしまったように感じる。いや、間違いなく増えた。
 目覚めと共に、身体よりも先に起立している男性器。これまではトイレで用を足すと自然に収まるまで待っていたが、最近では最後まで自慰をしてしまうことが多くなった。

 自慰の回数でいえば、これまでは数日に一回の割合だったのに対し、最近ではほぼ毎日だ。処理をしなくてはムラムラとしてしまい、メンバーといるにも関わらず勃起してしまうのだ。
 その中にあって、梨加ちゃんの顔を思い浮かべながらする自慰がほとんどだった。今なら男の子の気持ちが分かる。可愛い子を頭の中で思い浮かべてする自慰は格別だ。

 もちろん罪悪感はある。男性器が生えたとはいえ、私はまだ女だ。自分が彼女の立場だったらと考えると、私のしている行為は最低なことだ。
 それでも我慢が出来ないのだ。ふと空いた時間があると、インターネットで梨加ちゃんの画像を探していたかと思えば、最近では動画を撮ってしまうようになっていた。

 そう。私はメンバーだ。メンバー同士、動画や写真を撮るなんて、ごく当たり前のように出来てしまう。
 動いている梨加ちゃんを見ながら自慰に耽る。顔にかけたい。唇に擦り付けたい。舐めてもらいたい――。
 日に日に強くなる欲求をせき止めているのは、人として踏み外してはならないという人道だけだった。

「ねぇ、最近やたら私と撮りたがるよね?」

 いつものように動画を撮り終えると、唐突にそう言われ、私の目は泳いだ。

「そ、そうかな」

「そうだよ。最近仲良し?」

 首を傾げられ、私はドキッとした。と、同時に男性器がピクリと反応した。まさかこんなところで大きくなるわけにはいかないのに。

「仲良し、仲良し。ちょっとトイレに行って来るね」

 梨加ちゃんに股間の膨らみが見つからないよう、私は前かがみになりながら何とかこの状況を脱した。

「はあ。だって可愛いんだもん」

 梨加ちゃんを収めた動画――『ペーチャンネル』を見ていると、男性器は完全に勃起した。冠番組の収録までまだ時間は十二分にある。今朝処理したばかりだが、もう一度処理をしておいた方がいいだろう。
 私は動画を再生させながら、膨張した男性器に手を添えた。すでに男性器は熱を帯びており、ヒンヤリとした私の手を焦がしてしまいそうだった。

( 2018/04/25(水) 18:41 )