04
心臓が激しく高鳴る。寝顔を見つめながら自慰をしていることがこんなにも興奮するなんて。私は彼女が起きないように注意しながら熱くたぎった男性器を鎮めようとする。
皮を上下に擦りあげると、下腹部に甘い快楽の波が立つ。早くも性のにおいがムッと鼻をついた。
プルンとした唇が目に入った。男性器を操る私の手は自然と梨加ちゃんの唇へと伸びた。罪悪感とか、悪いことをしているという気持ちはなかった。ただ好奇心が湧いたのだ。
男性器の先端が唇に触れた。その瞬間、身体に電流が走ったような衝撃を覚えた。私は短く呻くと、ピュッと精液が飛び出した。
白濁の液体は瞬く間に梨加ちゃんの顔を汚してしまった。
やってしまった。まさか梨加ちゃんの顔に向かって射精してしまうとは。
下半身がガクガクとする中、私は慌ててティッシュを探した。けれども見つからないから、仕方がなしに自分のバッグから化粧落としを取り出した。
「ん? あれ、友香ちゃん?」
まずは簡単に男性器を拭くと、身支度を整えて梨加ちゃんの顔を拭いた。ベッタリと精液が付いているのを見て申し訳なく思う。
さすがに梨加ちゃんもこの事態に目を覚ましたようだ。とはいっても、まだ半分夢の中にいるようだ。
「ごめんね。起こしちゃった」
「いいけど、なんか臭わない? イカのような臭いっていうか」
寝ぼけた目とは裏腹に、嗅覚は鋭かった。私はドキリとして、何とか言い訳を考えた。
「ああ、さっきイカ味のヨーグルト食べてたの。で、ちょっと梨加ちゃんにこぼしちゃって」
「イカ味のヨーグルト? そんなのあるの?」
咄嗟に思いついた商品に、我ながら笑うしかなかった。何だよ、イカ味のヨーグルトって。仮にあったとしても、誰が食べたいと思うのか。
「う、うん。新商品らしいの。珍味っていえばいいのかな」
「ふうん。ずいぶん変わったの食べるね。なんか顔がベタベタする」
「顔、洗ってきなよ」
罪悪感と、まさか騙せるなんて思ってもいなかったから、もはやこのまま強引に押し切るしかない。私は半ば強引に梨加ちゃんを立たせると、トイレへと向かわせた。
「セーフ、かなぁ」
臭いをごまかすために、窓を開けてヘアスプレーや制汗スプレーを空間にふりかける。床にも散っていないかと丹念に見ていると、男性器からチョロっと精液が出てくるのが分かった。
簡単に拭いただけだから、気持ちが悪かった。トイレで始末しなくては。自慰をするとスッキリとした反面、こういうことが面倒だった。
けれども、いつもの自慰と違って、とても興奮をした。初めて射精をした時以上かもしれない。
私は禁断の味を覚えてしまった気持ちになった。