第九章「麻衣」
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 初めて見るフェラチオに美久の目は魅入られている。ジュボジュボと卑猥な音を立てながらペニスを口に含む先輩メイドの姿に美久は言葉を失い、ただ見つめ続けているだけだった。

「どうだ、麻衣。後輩に見られながらフェラするのは。興奮して濡れてきてるんじゃないか」

 クククと笑い声を上げる恭一郎のペニスは、いつもより膨張率が高く、なかなか射精してくれなかった。おかげで(あご)が疲れてきた。いつもならとうに射精しているはずなのに。
 きっと美久に見られているというシチュエーションが、マンネリ化しているこのルーティンに刺激を与えているようだ。おかげで口元は唾液でベチョベチョだった。

「美久、どうだ。先輩のフェラチオは」

「……はい。すごいです。やっぱり実際に見ると違いますね」

 ディルドとペニスの違いもそうだが、やはりこの雰囲気は到底実習じゃ出せないものだ。恭一郎は舌なめずりをすると、麻衣からペニスを抜き取った。

「美久もやってみるか」

「はい。喜んで」

 その場で片膝を着くと、美久の目の高さには唾液で濡れそぼったペニスがあった。隆々としたペニスは、やはりディルドとは違う。

「まずはにおいを嗅げ」

 恭一郎の命令に、美久は歯を覗かせながら、ペニスに鼻先を近付けた。

「どうだ」

「はい。お姉さまの唾のにおいと、おちんちんのにおいがします」

 自分が舐めたペニスのことを言われ、麻衣は耳を塞ぎたくなった。

「おちんちんじゃない。チンポだ。分かったな」

「申し訳ありません。チンポは初めて嗅ぐにおいです」

 スンスンと鼻を鳴らす音が隣にいる麻衣にも聞こえる。見られながらフェラチオすることにも抵抗感は多少なりともあったが、いざ交代してみるとなおさら抵抗感は強くなった。

「じゃあやってみろ」

「はい。失礼します」

 美久の小さな口がめいっぱい開かれ、その穴倉の中へペニスを迎え入れた。太い幹を入れられた口の中で、美久はさっそく施設で培ってきた経験を生かそうとした。
 ペニスを口で咥えながら、チロチロと舌で裏筋を舐める。特にここが性感帯で、効果は高いと聞いていた。それは間違いではなかったようだ。恭一郎の顔色が変わるのが見えた。

「い、いいじゃないか、美久。上手だぞ」

「えへへ。ご主人様が悦んでくれるのは嬉しいですね」

 ペニスを一旦口から出し、勝ち誇ったようにも照れ笑いを浮かべているような顔を麻衣は嫌悪感を抱いた目で見た。こんな歳半端な子にフェラチオをさせ、少女もまた嬉しそうな顔を見せているのが麻衣には信じられなかった。

「麻衣がフェラチオをし始めた頃より断然上手だ。さあ、早く続きをしてくれ」

「そうなんですか。えへへ。はい、頑張ります」

 一瞬、麻衣は美久と目が合った。無垢な瞳の奥に妖しい光を見た。自分をライバル視しているのだろうか。
 部屋の中はギュポギュポとやらしい水音と、恭一郎の押し殺した声が聞こえている。

■筆者メッセージ
うるう年も間もなく終わりですか。
ではまた四年後に。
( 2016/02/29(月) 21:59 )