03
エレベーターが副社長室のある階に到着すると、麻衣は走ってもいないのに息を切らせていた。恭一郎自身もまさか麻衣がここまで耐えるとは思ってもいなかった。
「と、トイレに行かせてください、ご主人様あ」
情けない声で麻衣がそう言ったのは、会社の地下駐車場に車を停め、エレベーターに乗り込む前のことだった。役員用のエレベーターのすぐ近くにはトイレがある。毎日恭一郎と会社に行っている麻衣は、そのトイレの存在を知っていた。
「ダメだ。ここじゃお前がうんこをする姿が見れないだろ」
だが、恭一郎は麻衣の哀願を切り捨てた。役員用のトイレでは、麻衣の排泄姿を満足に見れなかった。もしかしたら、エレベーターで漏らしてしまうかもしれないが、その時はその時だ。
そう。恭一郎は麻衣がいつ漏らすのか好奇に満ちていた。副社長室にある麻衣専用のトイレまで我慢出来るか、はたまた志半ばで汚物をぶちまけるのか。
上昇するエレベーター内で、麻衣がカタカタとヒールを鳴らす。腹部を押さえながら地団駄を踏む麻衣の腹を思い切り押してやりたくなる衝動に駆られたが、それでは面白くない。自分の力でどこまで耐えられるかが見たかった。
殊勝なメイドは、エレベーターもクリアした。恭一郎は感心したような顔で、副社長室の扉を開けた。
「ご、ご主人様、と、トイレに……」
入室するや否や、麻衣は眉間に皺を寄せながら哀願した。
「ああ。行っていいぞ」
「あ、ありがとうございます!」
副社長室にはもう一つ扉がある。麻衣は駆け込むようにその扉を開けると、恭一郎もその後を追った。
扉一枚隔てた先にある部屋。そこにあったのは、トイレだった。
だが、普通のトイレではない。段差があり、壁のない和式便所だった。麻衣は段差を駆け上がると、メイド服の裾を捲くった。
今日の麻衣の下着は黄色だった。メイド服から、下着はいつも麻衣が選んでいる。
麻衣は震える手つきで下着を下ろすと、がに股になった。背後に恭一郎がいるが、もうそんなものは麻衣の頭の中から抜け落ちている。今はトイレだ。トイレが先決で、あとは何も考えられない。
「んんんんっ」
せり上がった肛門から、一気に浣腸液が放出された。そう。それはまさしく放出だった。一直線に放出された浣腸液の後に、汚物が音を立てながら出て来た。散々耐えた末にようやく出せた汚物に、麻衣の目から自然と涙が流れ出る。それはさながら海がめの出産のようだった。
ひときわ大きな塊が出ると、今度は水気のある便が出て来る。背後からそれを恭一郎はニヤニヤとした顔つきで見続けた。