第十章「恭一郎」
06
 時間が経てば、ホテルで見た夢のことなどすっかりと忘れ去られていた。無邪気な美久を見ているだけで、恭一郎は抱きしめたくなるような、守ってやりたくなるような、そんな気持ちにさせられた。
 これは母性なのか。恭一郎自身、自分に母性なんて存在しないと思っていた。動物や子供なんて大嫌いだった。にも関わらず、美久を見ているだけで癒された。

 ソースを口の周りにベッタリと付けた美久の口元を拭ってやる。と、同時に頭も撫でてやる。美久の髪の毛は柔らかで、若いだけに艶があった。
 食べ物を運ぶ口を見ているだけで、勃起しそうになった。あの小さな口にペニスを突っ込んでいるのだ。小さな口で一生懸命、ハムスターのようになりながらも懸命にフェラチオしている姿はいじらしく、それでいて背徳感に満ちていた。

 だから――。

「ほら、美久。もっとお尻を突き出して。そうだ」

 何の吹き出物もない白桃のような尻をギュッと掴み、その濡れそぼった女性器に照準を定める。街灯だけが頼りで、後は手探りで小さな穴を見つける。

「ああ……」

 やがて見つけた小さな穴に勃起したペニスを挿入する。
 ずっと勃起していたペニスは、ようやく自分の居場所を見つけたように、活発的に美久の中で動いた。

「いいぞ、美久。お前もこうして挿れてもらえるのを待っていたんだろ」

 美久との夕食を終え、家に帰っている途中だった。食事の最中から我慢出来なかった恭一郎は、路肩に車を停め、高架下でセックスを始めた。
 ホテルを探したけれど、適当な場所もなかったし、たまには外でするのも一興だった。海の近くである。よほど近くにいないと、波の音に声はかき消されてしまう。
 潮のムッとするにおい。恭一郎は美久の身体を壊さんばかりに、乱暴に抽送した。

「あっ、あっ、あっ、ご、ご主人様、こ、壊れちゃいますぅ」

「いいぞ、壊れてもいい」

 美久の細い両腕を掴みながら、ペニスを波のように打ち付ける。処女を喪失させてから、丸一日と経っていない小さな穴は、ギチギチとペニスを引き千切らんといわんばかりに締め付けてくる。

「美久、最高だ。お前は最高のメイドだ」

「う、嬉しいっ。ご主人様にそんなことを言われてっ」

 何も考えられなかった。動物のように、子孫を残そうと必死になって腰を振っているだけだった。
 やがて一気に快楽の波は恭一郎を飲み込んだ。

 短く声を漏らすと、美久の中へ欲望のスペルマを吐き出した。
 荒い息遣いをさせたまま、恭一郎は美久の髪をかき分け、うなじにキスをした。

■筆者メッセージ
ブヒー。
( 2016/03/24(木) 18:29 )