06
麻衣はコンドームの付け方を知らない。恭一郎が使わないからだ。ただ、それが避妊具だということは分かる。妊娠の可能性を減らすための道具。
じゃあピルは何のためにあるのだろう? 麻衣は知らない。コンドームとピルの違いを。
「トロトロだぜ、お前の中」
何も装着されていない恭一郎のペニスが深々と麻衣の性器に突き刺さる。それは串刺しにされたかのようだ。
「俺にこうされるのを待ってたんだろ。なあ、そうだろ」
抽送が始まると、恭一郎の酒臭い息が鼻にかかった。
「は、はい。そうです」
最初から恭一郎のペースは速かった。突き上げられながら、麻衣は
艶かしい声を上げた。何も言わないと興が冷めるのか、恭一郎が不機嫌になってしまうからだ。
「ほらほら。もっと声を上げてよがれよ」
男という生き物は不思議だ。声をよく我慢出来る。それとも、セックスの最中さほど声を出さずに済むように出来ているのだろうか。
麻衣は意識的に声を出そうとはいているが、勝手に声が出てきてしまうのをずっと不思議に思っている。恭一郎はわざと声を上げないのか、はたまた男という生き物はみな声を上げずにセックスが出来るというものなのだろうか。
「気持ちいいか、麻衣」
「は、はい。気持ちいいです」
何が気持ちよくて、何が気持ち悪いのか。調教の限りを尽くされた麻衣にとって、もはや境界線はあやふやで分からなくなっていた。
ただ、気持ちがいいと言うと、恭一郎の機嫌がよくなるから言っているだけだった。自慰の時にはわずかながらにある快楽が、セックスになるとなくなるのを麻衣は知っている。
「何で気持ちいいんだ」
「ご主人様のチンポ、です。たくましいチンポに、突かれて気持ちが、いいんです」
途切れ途切れに答えると、抽送のスピードが更に速まった。麻衣の声は断続的に聞こえた。
「ほんといやらしいメイドだ」
「は、はい。麻衣は、いやらしいメイド、です。ご、ご主人様の、チンポが気持ちよくて、い、イキそうです」
快楽なんてないはずだった。それなのに、身体は自然の摂理のように自分を果てさせる。麻衣はそんな自分の身体が大嫌いだった。
「もうイクのか。さすが淫乱なメイドだぜ。ほら、イケよ、イケ」
恭一郎のペニスが麻衣の敏感なポイントを徹底的に突く。六年間ほぼ毎日身体を合わせているから、お互いの身体は熟知しあっていた。
「んんっ、だ、ダメ。イっちゃいます、ご主人様、もうイっちゃいます」
甲高い声を上げながら麻衣は果てた。ペニスに突き刺されたままの女性器が伸縮する。
「俺よりも先にイクなんて、不敬なメイドだ。罰として、明日の朝は浣腸の刑だ。覚悟しておけよ」
浣腸と聞き、真っ白だった頭の中が一気にどす黒い雲が差したようだった。どんなことでも慣れたとはいえ、未だ浣腸の羞恥だけは耐えらざるものだった。
かといって、嫌だとも言えない。そんなことを言ってしまえば、何をされるか分かったものじゃない。
「も、申し訳ありません。はい。ご主人様よりも先にイってしまった罰を厳粛に受け止めます」
果たして、セックスの最中女が男よりも先に果てることが不敬になるのだろうか。まるで不祥事を起こした人間のような態度を取らなくてはならないのだろうか。
「そろそろ俺もイキそうだ」
暗たんたる気持ちを抱えながら、麻衣は
迸る精子を膣で受け止めた。