アイドルのSP
出会い
02
カーン。
スパーリング終了のゴング。
「慎一さん、ありがとうございました。」
涼しい顔で松島が言う。
一方、慎一は
「はぁ、はぁ。あのね松島くん。
2度これからは一生指名しないで金輪際ね!」
息を切らせ、恨み節に松島に言った。
「はい、お疲れ様。
新人王相手に良くやったじゃねーか!」
みきおが慎一を褒める。
「いや、松島くんが手加減して
くれたからですよ。
実際俺はなんもできなかったし。
あー。本当プロならなくてよかった。」
実は慎一はみきおから
プロテストを薦められていたが
断り続けていた。
「いやー。俺の見る目は
間違えじゃねーんだけどな。」
「そうですよ。慎一さん目いいし
パンチもしっかり打ててるし。」
みきおに続いて松島も言う。
「俺はただ、デンプシーロールやショットガンとかがしたくて始めただけだし
実際人を殴るのか嫌だしさ。
あ、みきおさん!このあと
焼肉ですからね?忘れないでくださいよ?」
そう言い慎一は更衣室に向かった。
「おう。わかってるよ!」
「みきおさん。慎一さん
ほんとにプロにならないんですか?」
松島の問いに
「本人があーいってんだから
無理だろうな。」
と残念そうに答えた。
「本当に勿体ないですよ。
本気でやってないから
俺は平気ですけど
倒すつもりで慎一さんがやってたら…。」
そう言い松島は練習を再開した。
みきおは松島の意見と同じだが
これ以上は言うつもりはなかった。
「お疲れ様でした!」
ジムを後にして
みきおと慎一、そして
新人王のお祝いを兼ねて松島も誘い
3人で焼肉に向かった。
「焼肉ふぅ!焼肉ふぅ!」
子供のようにはしゃぐ慎一に
「テンション高いですね。」
と松島が笑いながら言った。
「何せ一年ぶりだからね!
次いつ食えるかわかんないから
食い溜めしとかないと!」
慎一の言葉に
「おいおーい。支払いは俺だし
松島のお祝いメインだから
お前はあんまり食うことで目立つなよー」
とみきおは慎一に言った。
そして、3人はジムから
近くにある焼肉屋に到着した。

ゆーと ( 2018/09/11(火) 04:32 )