W-2
時の流れは残酷である。
いつの間にか一年が過ぎた。僕は既に大学生活の後半に差し掛かっていて、世間の荒波に揉まれながら、所謂就活というものに必死になっていた。この時期にあたり、未だに彼女の素性を知る機会はなかったのが、さらに時宜は遠退いた。だが、彼女と僕の関係は良好なままで、なんとなく移ろう時に身を任せたままでいた。彼女は僕の愚痴を受け止めてくれた。会うと二言目には僕はつまらないことを話し始めてしまっていた。
「あの面接官……ありえないよ」
「そうなの? 諦めないで?」
それでも彼女は笑顔のままだった。時々、後光が差しているようにも思えた。その時、彼女は既に決意していたのかもしれない。