美しい桜と音-夏休み編-









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第8章
デートの行き先は…
「懐かしいな。そんな事あったかなぁ。」
「そうだよ?だって優ちゃん、今でこそだいぶ丸くなったけどさぁ、むかしなんか凄い喋りかけるなオーラが出てたよ?」
「そんなオーラ出してた?」
「めっちゃ出てたよ。」
「そうだったかなぁ。全く覚えてないなぁ。」
「そういうとこが優ちゃんらしいよね。」
「褒めてるのかそれ?」

優希と咲良は中学時代の思い出話に盛り上がっていた。咲良曰く、昔の優希は今より喋りづらかったようだ。

「てか、咲良いつから俺の呼び方変わったんだっけ?」
「結構早くに『優ちゃん』って呼んだと思うけど。」
「そうだっけ?確かに早くに呼び名変わったとは思ったけど、いつからかは忘れたんだよなぁ。」
「実は私もそこは曖昧なんだよね。」
「ま、いっか。始め呼び名変わった時はびっくりしたけどな。『その呼び名辞めろ。』って言ったけど、咲良辞める気ゼロだったよな。」
「だってさ、優ちゃんともっと近づきたかったもん。」
「それの所為で一時噂が飛び交ったの知らないだろ?」
「噂?」
「『咲良ちゃんと付き合ってんのか?』って。否定したけどさ。てかさ、咲良前に俺の事好きって言ってたけど、どうして俺と付き合わなかったのさ?」
「え?」
「まぁ、元カノと別れた早々は無理だろうけど、暫く経てば何も問題無かっただろうに…」

優希の言う通りだ。確か今年の5月、咲良が優希の家に来た時、咲良が打ち明けたのだ。優希が好きだったのに、何故付き合わなかったのか?

「それはね、告白するタイミングを逃したっていうか…親密になりすぎて逆に言いにくかったというか…友達以上恋人未満的な。」
「そういうこと?」
「でも、やっとこの5月に言えたから良かった。」
「まああの時は、俺の学校が恋愛禁止だったから、付き合えなかったし。」
「そうだよね。」

そんな話をしていたが、優希達は一体何処へ向かっているのか?

「ところで咲良、今何処に向かってんの?」
「今から行くのはね、動物園だよ。」
「動物園!?また何で?」
「いいじゃん、行くよー!」
(詳しい理由教えてくれないのね…)

動物園はもうすぐそこだ。

夜明け前 ( 2023/09/30(土) 20:16 )