美しい桜と音-夏休み編-









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第8章
一気に近付いた出来事
それから暫く経ったある日。咲良はいつも通り学校に登校した。すると、咲良の女友達がある話を持ってきた。

「ねえねえ咲良、話聞いた?」
「おはよう。何、話って。」
「まだ聞いて無かったんだ。優希君、彼女と別れたらしいよ。」
「え?そうなの?」
「そうなんだよ。あんなにお似合いカップルだったのに…」
「別れたんだ…」

どうやら優希は付き合っていた彼女と別れたようだ。教室に入ると、優希が男連中から揶揄われていた。因みに優希と咲良は同じクラスだった。

「なぁ優希、彼女と別れたんだって?」
「うるせーな、関係ないだろ。」
「浮気か?」
「ちげえよ。ったく…」
(優希君可哀想…)

優希は朝からずっと揶揄われており、少々疲弊していた。その日の夕方、優希は1人で帰ろうとした時に咲良と鉢合わせた。

「あれ、咲良ちゃん。」
「え…優希君?今から帰り?」
「うん。」
「じゃあ、今から一緒に帰る?」
「………」
「途中まで帰り道一緒だし、それに前約束したし。」

ちょっと前、咲良は元カレに復縁要請されていたが、優希が見ていられなくなり咲良を助けたのだ。だが…

「いや、いいよ。」
「え?」

優希の返答はNOだった。

「どうして?」
「俺が別れたの聞いたでしょ?」
「それは聞いたけど…でも、それが一緒に帰れない理由には…」
「確かに誘ってくれたのは嬉しいけど、別れたばっかだし。早々で一緒に帰っちゃうと、咲良ちゃんが別れさせた要因って新たな噂が飛び交うよ?」
「それは…」
「だから、一緒に帰るのは無理かな。じゃ…」

優希はそう言って帰ろうとした。しかし、咲良はそれを止めた。

「待って!」
「ん?」
「一緒に帰ろうよ。」
「いやだから、今一緒に帰ると…」
「そんな事は関係ないよ。そんなの言われでも私平気だし。」
「咲良ちゃんは良くても、俺が申し訳ないというか…」
「だから、優希君関係無いって。私優希君に恩返ししたいの。」
「恩返し?どういうこと?」
「実はあの日から、元カレの復縁が来なくなったの。どうも複数の女の子達にボコボコにされたみたい。『誰が本命なんだ?』って。」
「うわぁ…」
(女ってやっぱ怖いな。纏まってフルボッコ…複数の女子を敵に回してえらいこっちゃ。)
「ほんと優希君には感謝してるの。だから、優希君に恩返しさせて。」
「でも、それだったら一緒に帰らなくてもさ、他の方法で恩返ししてくれたらいいのに…」
「いいの。優希君と色んな話したいんだ。実は私、元カレ以外の男友達いないんだ。」
「え、そうなの?」
「元カレ束縛癖あってね…」
(浮気に束縛…正真正銘のクズだなあいつ。)
「うーん…まぁ、咲良ちゃんがいいならいいけど…ほんとに大丈夫?俺そこまで責任取れないよ?」
「大丈夫大丈夫。じゃ、帰ろっか。」

それから咲良と優希は一緒に帰る事が多くなった。優希が心配していた事は噂にもならなかった。

夜明け前 ( 2023/09/29(金) 21:25 )