縁りを戻した2人
悠太と麻友は悠太の家に向かった。麻友は悠太の家に何回か行っていたが、例の一件からは行っていなかった。向かっている間も2人に会話はなかった。悠太は何を話せばいいのかわからなかった。ここに優希がいたら2人の間に入ってくれるだろうが、いつまでも優希に頼ってはだめだ。自分で解決しなくては…
(俺から話すべきだよな…)
「な…なぁ麻友。」
「何?」
重い空気の中、悠太は口を開けた。
「ど…どうして俺に嘘をついたんだ?」
「それは…今聞くこと?」
「今聞かなきゃいつ…」
「そうじゃなくて、別に向かってる時に聞かなくてもいいってこと。」
「そ…それはそうだな。あ…あはは…」
明らかに悠太は少し空回りをしていた。
(こういう時優希はどうしてるんだろうな…優希に聞いてみたいけど、あいつのことだ、『そんなもん自分で考えろ。』って言われて終わるだろうなぁ…)
「ヘックション!」
「優希どうしたの?」
「誰か俺の噂してるな…」
「気のせいだって…」
「そうか?」
(はぁ…俺はどうしたら…)
考えてる間に家に到着した。悠太の家は親と住んでるが、親は共働きで優希のとこと一緒だが、夕方には帰って来る。
「久しぶりだな麻友が来たの…」
「そうだね…」
まだ会話にぎこちなさが残ってるが、2人はリビングに向かった。
「なんか飲む?」
「そんなに喉乾いてない…」
「あ…そうか。なら…なんか食べる?」
「いらない…」
「そうか…」
またしても失敗に終わった悠太…もう頭を抱えるしかない…
(どうしたら…)
「悠太…」
「え…何?」
「私が悠太に嘘ついた理由でしょ?」
(そういえば、すっかり忘れてた…)
「ああ…そうそう、何でこんなしょうもない嘘を…」
「実はね…尚も私のこと気にしてたみたいで…」
「え…」
「尚に告白されてさ、でも私は断った。当然だけど『悠太と付き合ってるから。』って…けど、尚が一方的に『付き合ってほしい。』って言われちゃって…半ば強引に…」
「でも尚に断ったんだろ?それなのに、何で付き合うようなことになるんだ?」
「悠太には申し訳なかったんだけど…私が尚の口車に乗せられちゃったの…」
「え…」
「悠太以上におちゃらけてる尚だけど、あの時ばかりは別人だったの。そしたらなんか尚に惹かれちゃって…気がついたら悠太より尚の方がかっこいいと思っちゃって…でも、いけないことだってわかってた。わかってたけど、だめだった…」
「そうだったのか…じゃあ愛佳ちゃんに見せられたあの写真…麻友は尚と…」
「それはない。疑われても仕方ないけど、それは尚に『だめ。』って言った。でも、今思えば始めのうちに断ってれば、こんなことにならなかったんだよね…」
「麻友…」
「悠太…これだけは信じて。私…確かに悠太とらぶたんに嘘ついた…でも、悠太のこと嫌いにはなってないよ。忘れてもない。だから、もう一回私とやり直してくれない?悠太とずっとず〜っと一緒にいたい…お願いします。」
麻友の精一杯のお願いだ。悠太はノーと言う筈もなく…
「うん、やり直そ麻友。」
「悠太…」
「俺にももしかしたら何か悪いとこがあったかもしれないし…俺も麻友のために前以上に頑張るからさ。麻友は俺について来てくれるだけでいいから。たまに羽目を外すかもしれんけど、麻友のためならいいよね?」
「うん。」
「麻友…かなり早いかもしれんけど、俺のお嫁さんになってね。」
「悠太…うん。悠太のお嫁さんに…悠太がいいなら私悠太に一生ついてく。」
「麻友…」
「悠太…」
二人は抱き合うと深いキスを交わした。
「悠太…久しぶりに…」
「わかった。」
そして二人は悠太の部屋へ…