美しい桜と音-夏休み編-









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第6章
前の姿には戻れない?
家に着くと悠太は大きく深呼吸した。

「すー…はー…」
「悠太、大丈夫か?」
「やばい…一気に緊張してきた…死にそう。」
「大袈裟だぞ悠太。大丈夫だって、中入ろ?」

不安な悠太を他所に美桜と優希は先に入った。

「お邪魔しまーす。」
「あれ?優希じゃん久しぶり〜…あ、美桜ちゃんもいらっしゃ〜い。あの日以来だね。」
「こんにちは愛佳ちゃん。」
「そっか。夏休みだから遊びに来てたんだ。」
「うん。」
「いいなぁ…」
「愛佳もいい人見つかるといいけどな。」
「ほんとは優希がよかったけど…」
「おいおい、まだ根に持ってたのか?」
「何言ってるの、全然違うよ。あれ…悠太もいたの?」
「やぁ愛佳ちゃん、久しぶりだね…」
「麻友に会いに来たんだ。」
「ああ…」
「残念だけど麻友出掛けちゃってるよ。」

どうやら麻友は家に居ないみたいだ。

「そっか…出掛けてるのか。はは、ついてねえな俺…」
「まあまあ落ち込まないで。とりあえず上上がってゆっくりしてきなよ。」

三人は家に上がらせてもらったが、悠太は益々落ち込んだ。

「ねぇ優希、悠太って朝からこんな感じ?」
「まぁ、俺達の前では空元気って感じで、元気な感じ出してるけど…それより、悠太と麻友のどっちが悪いんだ?」
「うーんそれなんだけど、私もまゆゆに聞いたんだけどさぁ、全然話してくれないの。それどころか…」
「それどころか?」
「私が悠太の名前出したら、まゆゆったら凄い睨んできたし…」
「マジか…麻友のやつ、よっぽど悠太に敏感なんだろうな…」

愛佳と優希はそんな話をしていた。一方美桜は落ち込む悠太を励ましていた。

「悠太君、そんなに落ち込まないで。大丈夫だって、きっと元に戻るからさ。」
「そうかな…」
「そうだよ。悠太君は悪くないんでしょ?」
「まぁ…うん。」
「なら自身持ってよ。」
「うん…」

悠太は複雑だった。自分は全く身に覚えがないが、じゃあ麻友が悪いかというと麻友も悪くない…だとすると自分なのか?

「はぁ…」
「優ちゃん。」
「何だ?」
「悠太君益々落ち込んでる。」
「まぁ仕方ないだろ。原因はわかんないけど、麻友にフラれたんだからさ。」
「でも、どっちが悪いかぐらいはっきりしたいよね。」
「それは確かにな。」
「でも、私達があまり掘りすぎてもダメでしょ?」
「それはそうだけどさ…かと言ってずっと見てるだけもダメだろ?」
「うーん…難しいなぁ…」

愛佳・優希・美桜は悩みに悩んだ。いい答えが見つかるといいんだが…と、

「ただいま。」

麻友が帰って来た。

「まゆゆ帰って来たよ。」
「えーと、まゆゆって麻友ちゃん?」
「そう。愛佳は麻友のこと『まゆゆ』って呼ぶんだよ。まぁ昔からの仲だから呼べるんだろうけど。ちなみに麻友は愛佳のこと『らぶたん』って呼んでるんだけどな。」
「へぇ…」
「そんなことより悠太どうすんの?」
「いや、俺に聞くかそれ?」
「鉢合わせって大丈夫かなぁ。」
「ただいま…あれ優希君来てたんだ。と…その子は?」
「あ…えっと、優希とお付き合いしてる美桜ちゃん。福岡の子だよ。」
「福岡から?初めまして、渡辺麻友って言います。みんなからはまゆゆって呼ばれてるよ。」
「初めまして、朝長美桜って言います。優希と付き合ってます。」
「この子が優希君の彼女さんか。可愛いね、優希君羨ましい。」
「ま…まあな。」

優希は笑ったが、どこか顔が引きつってた。

(麻友はいつ悠太に気付くんだろうな…俺までドギマギしてきた。)

優希はそのことで頭がいっぱいだった。

「ゆっくりしてってね。」
「あ…ああ、ありがとな。」
「いや〜やっぱ外は暑いね。」
「夏だからね。」
「もう死んじゃうかと思ったよ。ん?」

何かに気付いた麻友、その向いてる方向には落ち込んでる悠太の姿が…

「何でいるの?」

トーンが一気に変わった麻友、悠太は顔を上げた。

「麻友…」
「はぁ…何であんたがいるの?言ったよね、あの日もう会わないでって…」
「その件で話がしたいんだよ。」
「嫌よ。あんたとなんか話したくもない、帰って。」

悠太の話を聞こうとせずに帰らそうとする麻友に、優希が口を挟んだ。

「お、おい待てよ麻友。悠太にそんな言い方…」
「優希君には関係ないことでしょ?」
「だけどよ…こんなのを見ても放って置けないだろ?」
「フン!とにかく帰って、私の前に現れないで!」

麻友は上に上がって行った。明らかに悠太を嫌っていた。

「はぁ…」
「悠太君…」
「こんなに嫌ってるとは思わなかったな。」
「どうしたら…」
「悪りぃな愛佳、俺ら帰るわ。」
「うん。せっかく来てもらったけどごめんね。まゆゆしばらくあんな感じだろうからさ…」
「ああ。帰るか美桜。」
「うん…悠太君も…」
「いや、先帰ってて。」
「え?」
「悠太正気か?お前1人で大丈夫か?」
「ああ、これは俺と麻友の問題だ。2人で解決したいんだ。今思えば優希に助けてもらったって何も意味ねえ…俺の問題なんだから。2人には来てもらったけど、優希と美桜ちゃんは先帰っててくれ。」
「悠太…大丈夫なのか?」
「ああ…優希心配してくれてありがとう。俺…頑張るから!」
「わかった。男に二言はないからな、なら先帰るか美桜。」
「うん。愛佳ちゃんまたね。」
「うん。二人ともありがとう。」

優希と美桜は先に帰った。それを上から麻友は見ていた。

夜明け前 ( 2023/09/27(水) 16:58 )