デジャブと思ったら…
8月に入り、暑さがさらに増してきたある日…優希は一人家にいた。この日から美音は柊の家に泊まりに行き、2週間は家に帰って来ない。なので家には優希一人だった。付き合っているなら美桜を呼べばいいが、美桜は福岡だ。かと言って悠太や尚を呼ぶのもなんか変だ。となると…
(はぁ…一人つまんねーな。めっちゃ暇や…確か、ゴールデンウィークの日は咲良が来たっけ?)
思えば5月…一人でつまんなくいた時、咲良が来た。結果、暇つぶしにもなった。だが、今回は期待していない。
(あれは偶然だったからな。今回はなぁ…あまり期待はせんとこ。)
ピンポーン
「はい。」
インターホンが鳴った。まさかまた咲良が来たのか?
(また咲良か?いや…そんな訳ないよな。)
「はーい…ん?え、咲良じゃねえか?」
「ヤッホー優ちゃん、福岡旅行以来?久しぶりだね。」
「…………」
(マジか、ほんとに咲良来た…)
またしても偶然か?咲良が連絡なしに来た。だが、優希はすぐ咲良の異変に気付いた。
(あれ?確かあの時は泊まる気で来てたけど…今回何も持って来てないな。でも、何で来た?)
「あれ、咲良?今回は…」
「ねぇ、優ちゃんあの子来たよ。」
「へ…あの子?」
「優希…来ちゃった。」
「み…美桜!?」
何と美桜がやって来た。優希は驚きのあまり声を上げた。
「優ちゃんびっくりしすぎじゃない?」
「いやだってよ。咲良が連絡なしに来るって思わなかったし。美桜は予想外だったし…」
「この前の時は、優希たちが来てくれたからさ。今度は『私が行かなきゃ!』って思ってさ。」
「そっか。あ、それで咲良は美桜を俺ん家まで案内したんか。」
「そう。」
「なるほどな。しかし、来るなら連絡してくれよ…今回も連絡無しに…」
「いいじゃん。美桜とね、『優ちゃんびっくりさせようね。』って計画してたの。」
「何だよそれ…」
「期待通りびっくりしてくれてありがとう。」
「期待通りって…そんなん別に全然嬉しくもなんもない。」
優希はそう言ったが、内心はすごく嬉しかった。夏休みの間に美桜に会いたかった。だが、福岡にまた行くのも難だったし、美桜に『東京来いよ。』とも言うタイプじゃなかった。
「優ちゃん、私は今日用事あるからこれで…」
「ああ。ありがとな。」
「咲良ありがとう。案内してくれて。」
「いいよいいよ。ん?優ちゃん、美音ちゃんいないの?」
「あぁ、2週間は家に帰って来ない。友達の家に泊まりだ。」
「また優ちゃん一人だったんだ。」
「ああ。」
「よかったね優ちゃん。これで美桜と毎日エッチ出来てさ。」
「ちょ咲良…」
「あのなぁ…」
「うふふ。じゃあねお二人さん、お似合いのカップルだよ。」
そう言うと咲良は去って行った。
「もう咲良ったら…」
「ついでに冷やかしにも来たのか?ったく…余計な事言いやがって。」
「優希。」
「ん?」
「優希ん家、泊まってもいい?」
美桜の上目遣い…これには優希も、
(う…可愛い。)
「い…いいよ。」
「ん〜?優希顔真っ赤だよ?」
「うるせ〜よ…別に真っ赤なんか。」
「あ〜…彼女にそんなこと言うんだ。ひど〜い…泣きそう。」
「わ…悪かったな…」
「もう…泊まってもいいよね?」
「勿論。」
「私も2週間ぐらい泊まろかな。」
「え…」
「ま、この夏休みずっと優希ん家いよかな…」
「いいのか?」
「う〜ん…」
(な…どっちなんだよ。ま…いいや、美桜来てくれた。)
美桜が来てちょっとテンションが上がった優希…よかったな!