美しい桜と音-夏休み編-









小説トップ
第4章
とあるある噂
その出来事は二年前に遡る…優希がまだ一年生だった時、由紀が三年生の時である。ある日、優希が廊下を一人で歩いていると…

「ねぇねぇ、そこの君。」

優希は呼ばれたが、自分だと思わなかったのでまた歩き出そうとした。

「君だよ君。」
「え…俺ですか?」
「そうだよ。今忙しい?」
「大丈夫ですけど…」
「よかった、ちょっと来てくれる?」
「あ…はい。」

優希は部屋に入った。これが由紀と初めて会った日だった。

「えーと私は柏木由紀、三年生だよ。君は?」
「えーと、向井地優希です。一年生です。」
「優希君ね。ごめんね声掛けちゃって。」
「え、大丈夫ですよ別に。」
「ねぇねぇ、優希君は彼女とかいるの?」
「え…」
(突然何言い出すんだ?)
「あの…いきなり何ですか?」
「ねぇ、彼女いるの?」
「か…彼女は今は…その…」
「いないんだ…そっかそっか。彼女ほしい?」
「ほ…ほしい?」
(な…何なんだこの人…)

とまぁ、この日がきっかけで優希は由紀と親しくなり、優希は由紀から可愛がられた。時々由紀の家にお邪魔させてもらうなど、優希は由紀が優しい先輩だと思った。しかし…

「なぁ優希ちょっと…」

この時から仲良しだった悠太に優希は呼ばれた。

「悠太何?」
「お前、柏木由紀って知ってるか?」
「ああ由紀先輩?由紀先輩がどうしたの?」
「知ってたのか。お前…あの人から離れろ。」
「は?何言い出すんだよ急に…」
「いいからあの人ともう関わるな、終いにお前あの人の奴隷になるぞ?」
「何が奴隷だよ、あの人は優しいぜ?そんなんただの噂だろ?噂は信じない方がいいぜ。」
「お前は事の重大さをわかってない、もう一回言うあの人と…」
「悠太、先輩を馬鹿にすんじゃねえよ!お前こそ頭を冷やしたらどうだ?由紀先輩と会ったことないくせに…」
「はぁ、そうか…わかった。もう何も言わないが、お前がどうなろうと俺は知らないからな?」
「大丈夫、あの人は優しいんだ。」

だが、この後悠太の忠告が正しいことになるとは当時の優希は思わなかった。それから数日後、優希は同級生と付き合い始めた。それと並んで由紀との距離もだいぶ縮んできた。そんなある日、ついに由紀の本性が現れる…

夜明け前 ( 2023/09/24(日) 08:06 )