第1章
一回だけのチャンス
優希は一連の話をした。包み隠さず…咲良・美桜は優希の話を真剣に聞いていた。

「じゃあ愛佳ちゃんは優ちゃんのこと…」
「ああ、一種の一目惚れってやつかな。」
「でも、その時って優ちゃん恋愛禁止だったんでしょ?」
「そうだよ。けど、好きになるのは別にいいんじゃないのか?そこから進んだら不味いけどさ…」
「そっか…愛佳ちゃんは優ちゃんに一目惚れしたんだね…」
「ああ。始め会った時は『きつい奴だな。』って思ったんだけど、会う内に素顔がわかってさ…」
「そうなんだ…」

咲良はこの話に食いついていた。一方美桜は話を聞くだけでなかなか聞くことが出来ない…

「美桜…」
「何…?」
「寂しかったんか?」
「えっ…」
「違うか?」
「優ちゃん…」
「咲良から聞いた、こっちにいる時にずっと俺のこと思ってたんだってな。」
「優希…」

実は優希、咲良から美桜の近況を聞いていたのだ。

【優ちゃん?】
【何だ咲良?】
【美桜のことどう思ってるの?】
【え…何だよ急に?】
【美桜…ずっと優ちゃんのこと好きなんだよ?】
【えっ…そうなのか?俺がフったのに?】
【うん。美桜、優ちゃんにフラれて相当ショック受けてたけど、優ちゃんに対しての思いは諦めてなかったんだよ?今もずっと。】
【…………】
【少しは美桜のことも考えてあげてね?】
【美桜がずっと…か。】

この旅行の2週間前のことだった。優希は全くそんなことを思ってもいなかった。自分がフったから忘れているかと思っていた。

「美桜…お前の気持ちわからなくてごめんな。」
「優希…」
「優ちゃん…」
「悪かった…」

優希は美桜の顔が見れなかった。涙を見せたくないからではなく、自分がすごく情けないからだ。すごく自分が憎かった。

「美桜…優ちゃんも嫌味があったとかないんだよ?ただ、しばらく会ってなかったから美桜のこと、忘れてたんだよ…そうだよね優ちゃん?」
「ああ…」
「だから…」
「いいの咲良…」
「えっ…」
「優希のこと…怒ってないし…」
「美桜…」
「優希?」
「ん?」
「あの…私にもう1回チャンスくれる?」
「美桜…」
「もう1回優希に思いを伝えたい…悔いのないようにしたい…これで結果が悪かったらしょうがないし…だからもう1回チャンスいい?」
「優ちゃん…どうするの?」
「わかった。美桜がそこまで思ってるならしっかり受け止めないとな。」
「優希…ありがと。」
「よかったね美桜。」
「うん。」
「おーい咲良ちゃんに美桜ちゃんに優希ー、早く部屋来いよ。」
「じゃあ部屋行こか?」

咲良たちは部屋に向かった。

夜明け前 ( 2020/08/20(木) 10:51 )