私は優希のこと…
「さあみんな着いたよー。」
目的地の旅館にようやく到着した。優希は寝てる美音を起こした。
「ふぁ〜あ…」
「美音着いたぞ?」
「ん〜…おはよう…」
「爆睡だったね美音ちゃん。」
「美音この旅行楽しみにしてたからな、興奮して寝れなかったんかもな。」
「ふぁ〜あ…着いたの?」
「着いたから起こしたんだろ?」
「美音ちゃん寝ぼけてる?」
美音は眠い眼を擦った。
「じゃあとりあえず中に入ろっか?」
咲良の案内で優希たちは旅館の中へ…と思った矢先、
「優希こっち…」
「えっ…おい愛佳…」
「優ちゃん?」
「とりあえず中入ってて、後で行くから。ちょ、愛佳どこ行くんだよ?」
愛佳と優希はどこか行ってしまった。
「お兄さんたちどこ行ったのかな…」
「さあ…」
「もう…」
「まぁまぁ、とりあえずあの2人はほっといて俺らだけでもチェックしとこ?」
「そうだね。じゃあみんな…あれ、美桜は?」
「美桜ちゃんまで?」
「さっきまでいたのに…」
「もう…皆んな自由すぎたよ…」
「しっかりしてそうな奴らが、自由すぎとは困るね…」
「ちょっと尚君、私たちはしっかりしてないってこと?」
「そういうわけでは…」
またしても一言余計なことを言ってしまった尚だった。一方、愛佳と優希はというと…
「はぁ…はぁ…」
「愛佳…何のつもりだよ?」
「聞いて欲しいことがあるの…」
「何だよ?まさかお前…」
「そっちじゃないの…優希…私と付き合っ…」
「ちょっと待てよ、前も言ったじゃん?今は愛佳とは付き合えないって…好きでいてくれるのは嬉しいけど、今はそんな気じゃ…」
「優希じゃないと嫌なの!」
「えっ…」
愛佳は珍しく語気を強めた。
「優希じゃないと…私は優希と付き合いたいの…」
「愛佳…」
「ここに来る前に優希が『この旅行楽しもうね?』って言ってくれたとき、やっぱり優希じゃないとだめだって思ったの…まゆゆは悠太がいるからすごい幸せそうだし…夏休み前に確かに私は優希に『拗ねてない。』って言ったけど、ほんとは…優希とずっといたかったの…だけど、恥ずかしかったからあんなこと言ったの…」
「愛佳…」
ここまで自分のことを好きでいてくれるなんて優希は思いもしなかった。優希は自分が情けなく感じた、愛佳はここまで優希とずっといたいって思ってたのに自分ときたら…考えるだけで自分が憎く感じた。
「優希…今までずっと待ってるって言ったけど、私…決めたの、『もう待たない。』って…だから、私と付き合って…」
愛佳は優希に抱きついた。愛佳の目には薄っすら涙が…優希は苦渋の選択を迫られた。ここまで言って付き合わなかったら最低な人間だ。だが、もしオッケーとしても明日からどうみんなと対応したらいいのか…
(やっぱり付き合った方がいいのかな…けど、あーどうしよ…)
「なぁ…愛佳…」
「何?」
「この旅行が終わるまでに決めていいか?」
「優希…」
「やっぱこの旅行中は楽しみたいし…それに付き合ったら、みんなとどう対応したらいいかわからんし…」
「優希…うん。ごめんね…」
「俺も悪かった、愛佳を困らせてな。」
「ううん…」
「よし、戻るか。みんな待ってるからさ。」
「うん。」
愛佳と優希は戻った。その近くには2人の会話を聞いていた人物が…
(優希…愛佳ちゃんって子と…私はどうしたら…)
会話を聞いていた人物、美桜は悄気ながら2人の後を追うように戻って行った。