BBQ
いま俺たちはとあるキャンプ場へ来ている。BBQのために。
史緒里「海人ーー!てちーー!」
てち「しーちゃーん!」
海人「よっ!梅、久しぶり。」
梅澤「久しぶり!あっ、私がこのまえ選んだ服だw」
海人「せっかくだから。うわっ!」
いきなり後ろから腕を引っ張られた。誰だよ。
理佐「浮気?」
海人「違う。」
茜「説得力がない。」
海人「てち!ゆいぽん!助けろください!」
そっちはそっちで自己紹介して楽しんでいた。
海人「うそ〜ん。」
史緒里「(≧з≦)プププ今の久しぶりに聞いたかもw」
理佐「海人ってそういう変なことも言うんだw」
うるさい。
幼馴染といるとどうしても当時の自分が表に出てしまう。
七瀬「集合!」
「はい!」
号令がかかったので俺たちはすぐに整列した。
七瀬「3期生のみんなも4期生のみんなも私のこと覚えてるかな?」
乃木坂「はい!」
七瀬「あれ?あのバスなんやろ。ウチら貸切のはずやけど…。」
見覚えのあるマダムが乗っているバスが来た。
海人「なぁ、あれ久美じゃないか?」
てち「たしかに似てるね。」
似ていると思ったが降りてきた瞬間に本人だとわかった。しーちゃん同様小学校時代、乃木坂にいた頃の友人だ。
深川&久美
「遅れてすみません!」
七瀬「まいまい!何でおるん?」
深川「テストで対象者が60点以上取れたからだよ〜!ってあれ?玲香から聞いてない?」
七瀬「うん!ちょっと玲香💢」
やべぇ。怒モードだ……。てか今の乃木坂の顧問というか講師ってホントに桜井玲香だったんだ。
玲香「間違いは誰にでもあるじゃん!人間だもの!」
土生「それ知ってます!相田みつさんのやつ!」
・・・・・
海人「ウチのアホがすみません。土生ちゃん、相田みつさんじゃなくて相田みつをさんだから。」
玲香「もしかしてなぁちゃんのところの生徒って成績低め?w」
七瀬「そんなことあらへん!ウチのほうが頭ええわ!」
玲香「そんなことないよ!」
七瀬「そっちはマネージャーカップルが赤点とったんやろ?w祐希から聞いとるで〜w」
ヤバい。BBQ始まる前にバトルが始ってる。
中田「ハァ…。おバカはほっといて始めよっか!でもその前に自己紹介いっとこ!」
そして自己紹介後
男たちで合計4つのコンロに火をつけていた。
海人「久しぶりだな。」
遥輝「あっ、久保さんの初恋の人でてちさんの彼女さん。」
海人「彼女じゃない!それはともかく……もしかして俺としーちゃんって当時両思いだったのか?まあいい。あのさ、気の強いお姉ちゃんが居るのってどんな感じなんだ?」
地味に気になる。気の強い妹はいるけど姉はいないからな。
遥輝「そりゃ大変ですよw楽しいから良いんですけどね!そっちこそ天真爛漫な幼馴染との生活はどうなんですか?」
海人「そりゃもう大変だw」
おいw火起こし下手すぎだろw
てか何でこっちにはマッチあんのに原始的なやり方してんだw
海人「貸してみ。原始的にやりたいならもっと回転かけなきゃダメだ。」
さくら&遥輝「うぉーー!!すごぉーーい!!」
さくら「ハルくんダサいww」
遥輝「うるさい!あ、ついた。」
👏👏👏
3つとも火がつくと拍手の音に反応した女子たちが近寄ってきた。
陽菜「乃木坂と櫻坂のお兄さんたち!こっちはもう焼いても大丈夫ですか?」
海人&遥輝「まだ火が弱いかな」
陽菜「じゃあお肉置いときます!」
久美「おひなー!そこは人が通るから邪魔だよーw」
どこに行っても基本的な部分は同じなんだな。
カクッ
膝カックン……。こんなことするやつは一人しかいないだろう。
海人「久美💢」
久美「相変わらずだねw元気してた?何回か死にそうになってたってさっき聞いたけど。」
梅澤「それ私も聞いてる。その歳で親友やお父さんを失うってキツイよね…。」
海人「別に。家族や仲間がいるから大したことないさ。てか陽菜ちゃんだっけ?どこいった?」
久美「ウチのカントクんとこのコンロ。てか臭くない?」
そう言われてみるといつのまにか臭くなっている。この匂いは納豆か?間違い!納豆だ!
海人「誰だ!納豆を焼いてるやつ!」
好花「あっ、それ私です!ダメでした?w」
遥輝「いや、ダメじゃないんだけどw臭いw」
早川「ええやないですかw美味しいんやしwそういえば海人さんのあの大きな荷物ってなんなんです?」
周囲の人が俺の荷物をガッツリ見始めた。忘れてた。
久美「もしかして海人くんのお店の料理とか?」
好花「たしかあの5つ星の超高級中華料理店ですよね?」
海人「忘れてた。月餅っていう中国のお菓子。昨日てちとそこのツンデレ(ゆいぽん)とフィリピンメガネザル(るんるん)に手伝ってもらって作ったんだ。俺はしーちゃんに聞いて日向さんが来るのも知ってたから全員分作ってきてある。」
俺がデカいキャリーケースから月餅が入っている保冷リュックを出すと一瞬で行列ができた。
高本「ねぇ!そのレシピ後で教えて!」
梅澤「私も知りたい!」
海人「そういうのは後だ!回していくとズルするやつができてそうだから…1人ずつ渡してく。」
にしてもすごい列だ…。幼い頃から見てきた光景だが今見てもシンプルにすごい。
海人「めんどいな。とりあえず適当に持ってけ!でもその前に。」
先生たちに配らなきゃ。
海人「はい、まいまいさん、かなりん、ななさん、ポンコツさん!」
みんな「ありがと!」
玲香「ちょっと!私だけおかしくない?」
海人「それじゃ先生たちも同窓会楽しんでください!」
先生に渡して戻るともう無くなってる。俺の分もあるはずなのだが
てち「はい!取っといたw」
海人「サンキュー。てちってこういう時は気が利くなw。」
てち「何それ!ひっどーい!w」
二人「一緒に食べよ!」
我ながらクソ美味い。情けない顔になっているのが自分でもわかる。
梅澤「海人くん、ありがと!美味しかった!後でレシピ教えてほしい!」
遥輝「俺にも教えてください。姉ちゃんたちに作ってあげたいw」
高本「私にも教えて!久美の元カレさん!」
海人「元カレじゃねぇよ!」
宮田「私も欲しいです〜♥」
山下「私にもお・ね・が・い♥」
海人「ぶりっ子やめろ💢シンプルにウザい💢」
一人一人に教えるのはめんどくさい。ならやることはひとつ!
海人「各校男子集合!」
グループ作って投稿する作戦に出る!
ピロピロリン
ライン!
ンーライン
様々なLINEの通知音が一斉に鳴り響く。
海人「えっと…。関係ない皆様もこんにちは。櫻高のカントク兼マネージャーです。これ先程のお菓子のレシピです。良かったらどうぞ。送信!」
またまた一斉に鳴り響く。
梅澤「ありがとう!」
高本「作ったら載せるね!」
久美「私も作ってみるね!」
与田「祐希も挑戦してみるね!」
史緒里「今度東京に送ってね!」
最初は同い年の返信が多かった。しーちゃんだけなんかおかしいw
すると今度は学年関係なく返事が来た。てか直接言えよ!
美穂「ありがとうございます!また会える機会があったら作っていきますね!」
京子「私も挑戦しようかな!」
加藤「やめて!犠牲者が出る!w」
遥香「遥輝!海人さんみたいに超美味しいの作ってね!」
遥輝「だったら自分で作ってよ…」
遥香「そんなこと言うとあんたの秘密バラすよ?」
遥輝「ここでそれ言うのだけは勘弁して……。」
後半姉弟トークになってるし。てか秘密ってなんだろ。
てち「秘密って何?」
・
・
・
遥香「えっと…。後で話しますw」
遥輝「やめろ!💢」
理佐「ほら、他所のお姉さんたちに話してみなよ。絶対に広まらないからw」
美穂「ほら、誰かに話さないと終わらないよ?w」
小坂「そんなにやらしい話なん?w」
飛鳥「早く話せ。」
うっわ。ドSそうなメンバーに絡まれてる…。なんか可哀想になってきたかも…。
てゆーか1人だけ違うの混ざってる気がする……。
誰だw
飛鳥さん招待したやつ。まあいいや。
そんなこと無視して俺はみんなと肉を食べていた。
ん?あそこに一人でいるのってゆいぽん?
一人で隅にいるゆいぽんのところへ向かい、驚かせてみたw
海人「わぁっ!」
由依「うわっ!ビックリさせないでよ!バカ!」
海人「侑斗も来れたら良かったのに」ってところかな。わかるよ。なんとなく。俺も同じこと考えながら食べてたし。」
由依「うん……。彼女のずーみんが立ち直ってるのに……。」
立ち直ってるように見えるだけでやっぱり見栄を張ってたか。
梅澤「ここいい?」
由依「えっ?もちろん!」
小坂「私たちもいいですか?」
由依「うん!」
金村「失礼します。」
梅……。それに菜緒ちゃんと美玖ちゃんだっけか?
梅澤「私ね、幼馴染じゃないけど大好きな妹を失ったことがあるんだ。」
小坂「私は失ったことは無いけどカントクがいなくなったらって考えると……。」
金村「菜緒、泣かないで…。カントク生きてるんだからwでもそう考えると……。」
そうか。梅は大切な人の死で悩んだことがあったからこそ俺だけの為に来てくれたのか。
日向の2人もわざわざ大切な人の死を想像してまで…優しいやつ。
由依「梅ちゃんもそういうことあったんだ。菜緒ちゃんと美玖ちゃんもありがと!」
海人「俺は父親を失って親友を失った。心に空いた穴は今でも塞がってない。多分この穴は一生塞がらない。」
小坂「死別を体験したことがないのでわかりませんけど私が大好きな小説のキャラクターはみんな仲間と一緒に乗り越えてます!」
海人「ゆいぽんは1人じゃない。それだけ理解してほしい。俺も人のこと言えないがな。」
みんなうんと頷いてくれた。
海人「だからゆいぽんも俺たちと一緒に少しず…」
由依「わかってる!バーカ!!フン!」
海人「えっ!?俺なんかした?何で3人はドン引きしてんの!」
何故か冷たい目で見られてるんですけど…。
梅澤「それが分からない海人くんが怖いよw」
金村「ウチのカントクみたいに鈍感ですねw」
菜緒「だから付き合えないんですよw」
海人「余計なお世話だ!💢w」
そこまで言われる筋合いはない。
海人「ゆいぽん!ちょっと待って!」
由依「来ないで!ばーーか!w」
海人「逃がすか!てかぜったいに笑ってるだろw」
俺は追いかけたゆいぽんを捕まえた。
由依「え?」
ギュッ
海人「でも本当に大丈夫だから。俺が乗り越えられたんだ。俺より強いゆいぽんなら乗り越えられる。」
由依「ありがと!」
チュッ
由依「ライブしっかり見ててね!」
海人「わかった。」
ちなみにこのあとお昼を食べて少し休んで遂に披露会をやることになった。
キスされた姿を誰にも見られてなくてよかった。