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三章 二人のセンター
スタンプラリー
お昼が終わる頃にはみんな黒歴史を乗り越えていた。


七瀬「午後はペアになってスタンプラリーをしてきてもらうよ!もちろん走って。ズルしたら村の人からの通報が入るから気いつけや。」


女子はまた走るのかと嫌な顔をする。まだまだ体力がないから仕方ない。1部のメンバーは男を睨んでいる。


海人「午後のスケジュールを組んだのは先生たちだ。」
松田「本当ですか?」
七瀬「うん!ななと中田先生で作ったよ!じゃなくて。ペアはクジで決めるよ!マネージャーの健と大人以外は参加。じゃあクジを引くでー!」


海人と当たったのは……


上村「よろしく。足を引っ張っちゃうと思うけど…。」
海人「そんなこと考えなくていい。上村もいつも全力で努力しているのは知ってる。」
上村「もう!そういうことさりげなく言わないでよ…(///д///)」
海人「そんな照れることか?まあいい。行こう。」


それぞれ校門の前に着き、順番に出発していく。


海人「気になってたんだけど上村の右目の上あたりの傷なにかあったのか?嫌なら答えなくていい。」
上村「えっ?うん。入園式前にテーブルの角にぶつけちゃってね…w目立って嫌だからぱっつんにしてるの!」


聞いてはいけなかったこと聞いてしまった気がした海人は申し訳なさそうな顔をする。


上村「自分で聞いといて申し訳なさそうな顔しないでよw昔はたくさん怪我してきたんだwその中でも傷跡が残ってるのは顔だけかな。」
海人「あのさ、傷跡があっても上村はかわいいと思うよ。だから好きな髪型にしていい。どの髪型でもかわいいから。」


かわいいと言われただけで顔がめっちゃ赤くなった。それだけ嬉しかったのだろう。



上村「あ、ありがとう。あと今からはみんなみたいにうえむーって呼んでほしいな…。」

七瀬「次!うえむーちゃんと海人くん!」

海人「わかった。うえむー、行くぞ。」
上村「うん!」


2人は出発した。合計5つのスタンプを集めに。


1つ目は学校の近くにある欅坂学院前駅だ。駅の入口付近に本屋のおじさんが立っていた。


本屋「おっ、またまた来たね!待ってたぞ!」
海人「商店街の人達がスタンプを持ってるってことか。」
本屋「そういうこった!はい、スタンプ」
二人「ありがとうございます。」
本屋「次は商店街の北側の出入口だ。」


二人は次の目的地へ。


海人「大丈夫か?」
上村「うん!まだまだ大丈夫!」
海人「無理だと思ったら言えよ。運動神経といい体力といいメンバーの中だとないほうだろ。」
上村「おぜには勝てるから大丈夫w」
海人「さりげなく親友にめっちゃ失礼なこと言ったなw」


話しながら走っていると商店街の北側についた。そこには駄菓子屋のおばちゃんと……。


海人「土生とまつり。何してる?」
土生「体力の限界が来たからエネルギー補給でアイス食べてる。ねぇー!」
松田「ねぇー!」


すると海人はとある異変に気づいた。


海人「違うな。まつりの足の具合を見るついでに食ってるが正しいだろ。怪我したまま歩いたり走ったりしようとするな。乗れ。」
松田「いやいや、私めっちゃ重いですよ!それに恥ずかしいですし。」
海人「乗れって言ってんだろ。そういうことは怪我を治してから言え。怒るぞ。殴るぞ。」


海人はガチなトーンと目つきになり、松田は素直に乗ることにした。


海人「土生とうえむーは走れるか?」
土生「もちコース!」
上村「私も大丈夫!」


そして4人でペースを落とさずに次の場所へ。


海人「土生の身長っていいな。より遠くまで見渡すことができる。」
土生「そんなこと言われたの初めてwありがと!」
上村「海人ってみんなに優しいよね!」
海人「うえむーも土生もまつりもみんなそうだろ。」


その発言に松田のみ違和感を覚えた。いつもとなんか違うと。


松田「わかった!!」
海人「うわっ!急に大声を出すな!しかも耳元で!」
松田「ごめんなさいw2人の呼び方変わってますよね?ここに辿り着くまでの間に何があったんですか?菅井さんたちに言わないので教えてください!」


そう。呼び方がいつのまにか変わっている。あのときから。


海人「くん付やめろからのうえむーって呼んで。それだけだ。」
松田「なるほど!ラブラブですね!」
上村「いやいやwまだまだこれからだよ!」
海人「変なこと言うな!/////」


なにはともあれ4人で最終地点まで辿り着く。最後のスタンプを持っている人は……。


海人「母さんズ!?」
松田「ママさんたちだ!お久しぶりです!」
母「久しぶり!まつりちゃん、土生ちゃん、うえむーちゃん!」
由依母「はいこれスタンプ!」
尾関母「ラストスパートがんばって!」


最後のスタンプを貰って学校へ向かう4人。あと少しのところで海人の体力に限界がやってくる。


松田「ここまで来たら大丈夫なので下ろしてください!」
海人「悪い。お言葉に甘える。」


最後は4人で走ってゴールした。ゴールと同時に健と齋藤が走ってやってくる。


健「足を見せて!」
齋藤「それだけだとただの変態だよwでもちょっと見せてもらうね!」


仲良しな先輩2人が怪我したことを聞いて迎えに来た感じ。


海人「任せた……。俺は夕飯まで寝る。」


このあと海人は本当に夕飯まで寝ていた。お見舞い?にメンバーたちにキスされているとは知らずに。

深見飛彩 ( 2022/07/20(水) 01:02 )