第6章
第143話


翌朝。

目を覚ます蒼。時計を見ると9時30分。集合時間の30分前だった。

急いで準備を済ませ外に出ると、既に殆どのメンバーが外に出ていた。

白石「あー、やっと来たー!遅いぞー!」
蒼「ごめんごめん、準備に手間取っちゃって。」
七瀬「とか言って、普通に寝坊したんちゃうん?蒼、朝弱いもんな?」
蒼「いやまあそうだけど、ほら、腕怪我してるし、色々大変でさ。」
七瀬「あ、そっか。腕大丈夫?」
蒼「なんとかね。ありがと。」

その後先生の元へ行き点呼を始める蒼。が、2人足りない。

蒼「あれ?誰かまだ来てない?」
蓮加「梅と久保が来てないよお兄ちゃん!」
蒼「え・・・」

そんなこんな話していると2人が慌てて宿から出てくる。

梅澤「す、すみません遅くなりました!」
新内「こら2人ともー、集合時間ギリギリだぞー!」
久保「ご、ごめんなさい!」
新内「まぁ、10時ぴったりだし、特別に見逃してあげましょう!じゃあ、みんな揃ったので順番にバスに乗ってくださーい!」

新内先生の合図でバスに乗り込む蒼たち。途中蒼が入り口付近で人数を数えていると、乗り込もうとする梅澤と目が合う。

梅澤「ギリギリでした・・・」
蒼「ほんとだよ。まぁ、間に合ってよかったな。」
梅澤「ですね。」

その後久保とも目が合った蒼だったが、久保は昨夜のことを思い出し恥ずかしくなったのか、すぐに目線を逸らしてしまった。

こうして無事全員バスに乗り込み、バスは無事出発した。

バスの中は相変わらず騒がしく、蒼はアイマスクをつけて寝ようとするも、全く眠れない。

すると、隣にいる人物に肩を突かれる。

蒼「・・・なに。」
山下「先輩、せっかく隣に私がいるのに、寝ようとするなんて酷くないです?」
蒼「酷くない、おやすみ。」
山下「あ、ちょっと!」

蒼のアイマスクを奪う山下。それを自分のポケットにしまう。

蒼「・・・」
山下「先輩、お話ししましょ?」
蒼「・・・はぁ、しょうがないな。何話すの。」
山下「うーん、じゃあ・・・私の好きなとこ!」
蒼「却下。」
山下「じゃあ、私の可愛いとこ!」
蒼「ほぼ一緒じゃん、却下。」
山下「じゃあ・・・昨日の夜、梅と久保と何かありました?」
蒼「!?」

耳元でそっと質問する山下。驚いた蒼は山下の方を見る。

山下「あったんですね。」
蒼「いや、その・・・」
山下「やっぱりなー、なんか怪しいと思ってたんですよ。いつも真面目な3人が遅れてくるから。でも安心してください、他のみんなは気づいてないと思うので。」
蒼「そ、そっか。・・・で、何が目的?」
山下「ひどいなー、別に何もないですよ?ただ聞きたかっただけです。まぁ、私のこと誘ってくれなかったのはちょっと不服ですけど。」
蒼「いや、誘うも何も、俺も知らなかったんだから。」
山下「ふーん、まぁ良いです。・・・ちなみに、どこまでしましたか?」
蒼「え、どこまでって・・・さすがにゴムないし、その手前までだけど。」

それを聞いて何故かニヤける山下。

山下「・・・そっか。ふふっ、じゃあ、まだ私の方が一歩先ですね?」
蒼「・・・そうだな。」
山下「じゃあ良いです。あ、でも、私のことも相手してくれないと泣いちゃいますからね?あ、お、い、君?」
蒼「はぁ・・・わかったよ、美月。」
山下「ふふっ、さすが先輩、大好きですよ。」

そう言って蒼の手を握る山下。蒼はそれを振り解こうとはしなかった。

すると前に座っていた与田が不意に振り向く。

与田「蒼君ー、はーなーそー・・・って、あー!蒼君なんで美月と手繋いどると!?うちも繋ぎたい!」
蒼「ちょっ、与田・・・」

近くにいた後輩の視線が一気に集まる。危険を察知し、山下からアイマスクを奪いそのまま装着する蒼。

与田「あー、ダメ!寝かさんよ!せーら、お願い!」
早川「任せてください!おりゃーっ!」
蒼「え、ちょ、・・・」
山下「先輩・・・お疲れ様です♪」

その後、眠ることを許されずバスを降りるまで後輩のトークに付き合わされた蒼。

こうして、色々あった旅は無事終わりを迎え、蒼たちはまた忙しい日々へと戻されるのであった。








■筆者メッセージ
いつもありがとうございます。

これにて第6章終わりになります。
本来もう少し官能シーンも描こうとしましたが、読者様の意見を参考に趣向を変えてみました。

どうでしたでしょうか。

明日から第7章に入りますが、5話ほどしか作成が進んでない為、投稿できない日があるかもしれませんが、ご了承ください。

では、引き続き本作品をよろしくお願いします。

Haru ( 2021/12/16(木) 11:42 )