第6章
第137話


蒼「久保?」
久保「・・・。」

久保に話しかける蒼。しかし、返事がない。

蒼「もしもーし、久保さーん、生きてますか〜。」
久保「・・・はっ!す、すみませんボーッとしてました!」
蒼「大丈夫?のぼせた?」
久保「い、いえ!そんな事ないです!」

大丈夫とは言っているが、なぜだろうか、相変わらず目が合わない。

蒼「久保、何でずっとそっち見てるの?誰もいないけど。」
久保「あ、ええと、それは・・・」
梅澤「もう、相変わらず鈍感ですね〜先輩は。久保は恥ずかしいんですよ〜、大好きな人と一緒にお風呂入ってるんですから。ね〜久保?」
久保「ちょ、ちょっと梅!?何言ってんの!?」
蒼「え・・・そうなの?」

久保を見る蒼。やっと目が合った。

久保「ち、違います!違くもないけど・・・恥ずかしいだけです!」
蒼「そっか、まあ恥ずかしいよね、普通に考えて。俺も恥ずかしいもん。」
梅澤「意外ですね、女の子の身体なんて見慣れてると思ってました。」
蒼「そんなわけないでしょ。」
梅澤「でも蓮加とたまにお風呂入ってますよね?」
蒼「え、なんでそれ知って・・・」
梅澤「え、本当に入ってるんですか!?適当に言っただけだったのに、まさか当たるとは・・・。先輩、妹にまで手出してるんですか?」
蒼「・・・。」

確かに蒼は蓮加と初めて身体を交わらせて以降、月に数回、一緒にお風呂に入り行為を重ねていた。もちろん、それは蓮加に限らず、みなみも同様だった。

梅澤「まあでも、蓮加最近大人っぽくなったし、あるとしたら蒼先輩だろうなって思ってたんですよね〜。どうです?凄いでしょ私の観察力!」
蒼「・・・ああ。」
梅澤「あれ、その様子だとまだ何か隠してます?」
蒼「・・・隠してないよ。」
梅澤「本当ですか〜?」
蒼「ほんと。」
梅澤「じゃあなんでこっち見ないんですか?」
蒼「それは・・・見えたら困るでしょ。」
梅澤「見える?・・・あー、なるほど。それでずっと目瞑ってくれてたんですか?」
蒼「そうだよ。」
梅澤「ふーん、てことは、私のことも意識してくれてるって事ですよね?なんか嬉しいです。」
蒼「そうは言ってないけどな。」
梅澤「え〜、なんだ残念。先輩になら見せても良いと思ったのにな〜。」

とんでもないことを口にする梅澤。

蒼「・・・あのさ梅、だからそう言うことはあまり言わない方が」

蒼が梅澤の方を向いたその時、彼女の唇が蒼の唇に触れる。

久保「えっ」

突然の梅澤の行動に、久保も驚きを隠せなかった。
数秒後、唇が離れ見つめ合う蒼と梅澤。

蒼「・・・っ。梅・・・」
梅澤「冗談じゃないです、私、本気です。本気で先輩が好きなんです。」
蒼「・・・。」
梅澤「いや・・・でした?」
蒼「嫌じゃないよ、でもなんか、突然すぎてビックリした。」
梅澤「一緒にお風呂入ってる時点でその気があるのくらい察してください。ほんと鈍感です、まぁ、そこも含め好きなんですけど。」

そう言って蒼を見ながら微笑む梅澤。
蒼はその笑顔にドキッとしたのか、目を逸らしてしまう。

梅澤「あ、目逸らした。もしかしてちょっとドキッとしました?」
蒼「・・・そりゃするでしょ。」
梅澤「へへ、嬉しいな〜。じゃあ、今度は久保の番だね。」
蒼「え?」

蒼が久保の方を見ると、久保は蒼の方に身体を向け、蒼を見つめていた。

久保「・・・。」
梅澤「ほら久保、ちゃんと伝えないと。」
久保「・・・あ、ええと・・・実は私も、蒼先輩のこと好きなんです。だからその、なんて言うか・・・私のこともちゃんと見てくれたらな〜なんて・・・」

そこまで言うと、久保は真っ赤に染まった顔を手で覆う。
蒼は久保の頭に手を乗せ、そっと撫でる。

蒼「ありがとう久保、嬉しいよ。」
久保「本当ですか?」
蒼「本当だよ。てか、久保に告白されたら誰でも喜ぶよ。」
久保「そ、そんな、私なんて・・・。」
蒼「そんなことあるよ。可愛いもん。」
久保「あ、ありがとうございます・・・。」
梅澤「あー、私にはそんなこと言ってくれなかったのにな〜。」
蒼「・・・梅もありがと。」
梅澤「へへ、どういたしまして。」

気持ちのせいだろうか。少し暑くなってきた蒼。

蒼「あの、そろそろ出ない?暑くなってきたんだけど。」
梅澤「ダメです。まだ終わってません。」
蒼「終わってないって、何が・・・」

梅澤にそう尋ねる蒼。
梅澤は蒼の目を見つめ、こう言った。

梅澤「蒼先輩、私とエッチなこと、しませんか?」









Haru ( 2021/12/10(金) 12:33 )