第6章
第133話

眠りについてからどれくらい経っただろうか。
ふと目を覚ました蒼。時計を確認すると、1時間ほど寝ていたようで、時刻は18時を過ぎる頃になっていた。

それにしてもやけに外が騒がしい。
蒼は身体を起こして窓から外を見る。どうやら夕飯の準備をしているらしい。

蒼「そっか、夕飯は班毎にカレー作るんだったっけ・・・。」

蒼はベットから出て身だしなみを整えた後、部屋から出てみんなのいる方へ向かう。

蓮「うおっ!?おい松村、包丁持ったまま歩くなって!」
松村「あ、ほんまや、ごめんごめん!」
蓮「おいっ、急に振り向くなって!」

秋元「ちょっといくちゃん!?なんでそこに卵流してるの!?」
生田「え、なんでって、卵焼きってこう作るんじゃないの?」
秋元「フライパン使うでしょ!?誰がIHにそのまま卵流すのよ〜、もう〜!」
生田「あれ?そうだっけ?ごめん、許して真夏!」

梅澤「桃子〜、野菜切れた?・・・って、ちょっと!どう見ても大きいよこれ!」
桃子「え〜、煮込めば食べられるよ〜!」
梅澤「何時間煮込むつもりなの・・・ほら、貸して!切ってあげるから!」
桃子「はーい。じゃああっち見てこよーっと〜!」
梅澤「すぐどっか行かない!ほら、ここでじっとしてなさい!」
桃子「ふぇぇ〜ん。」

どうやら中々のカオスっぷりらしい。
蒼が現場に到着する。最初に気がついたのは与田だった。

与田「あー、蒼君起きてきたー!おーい蒼くーん!」

大きく手を振る与田に手を振り返す蒼。
ぞろぞろと蒼の周りに人が集まる。

白石「体調はもういいの?」
蒼「おかげさまで。言っても、手怪我しただけだから。」
七瀬「じゃあ、今からカレー作り参加できるん?」
蒼「うん、そのつもり。」
与田「じゃあ、うちのチーム来てください!七瀬さんもいますよ!」
早川「あ、与田さんずるい!先輩、せーらのとこ来て〜!」
松村「何言ってんねん!あおちゃんはうちらのチーム来るねん!な、あおちゃん!」
蒼「うーん・・・」

悩む蒼。すると向こうのほうでカレー作りに勤しむ飛鳥が目に入る。

蒼「ごめん、あそこのチームはいるよ。」

蒼が飛鳥の方を指差しそう告げると、みんなは渋々カレー作りへと戻っていった。

先生に体調が大丈夫なことを伝えカレー作りに加わる蒼。
飛鳥のいる方へ歩いていく。

さくら「・・・あ、蒼先輩!」
蒼「やっほーさくら。出来てる?」
さくら「うーん、何となくは・・・ご飯の方は、あすぴーさんが今奮闘してます。」
蒼「なるほどね。俺ここ入ってもいい?」
さくら「もちろんです!あすぴーさん、蒼先輩入ってくれるって言ってますよ!」
飛鳥「・・・ふーん、そう。」
さくら「あれ、あまり喜んでない?・・・いや、これは照れ隠しですね、本当は嬉しいに決まってます!」
飛鳥「おい、えんぴーうるさいぞ!話してないでこっちこい!」

飛鳥に連行されるさくら。蒼はカレーの鍋の前に向かう。

久保「あ、蒼先輩。腕大丈夫なんですか?結構落ちたって聞いたんですけど・・・」
蒼「らしいねぇ。俺も死んだかもって思ったけど、意外と丈夫だったみたい。すごいでしょ。」

そう言って笑う蒼を見て釣られたのか、久保も微笑む。

蓮加「もう、お兄ちゃん!そうは言っても無理したらダメだからね!左手使ったら蓮加怒るから!」
蒼「分かってるよ。(ったく、怖いなあうちの妹は。)」
蓮加「・・・何か言った?」
蒼「いや、何も?」
久保「まあまあ2人とも!蓮加もほら、先輩無事だったし、良かったね!」
蓮加「まぁ、それは、そうだけど・・・。とにかく、無茶はダメだから!」
蒼「はーい。あ、混ぜるの変わるよ。」
久保「本当ですか?じゃあ、味見もお願いします!」
蒼「おっけー。」

その後無事カレーが完成したのでお皿に盛り付ける。
米も無事炊けたようで、飛鳥は自慢げにご飯をよそっていた。

それぞれ班毎にテーブルを囲む。

新内「みんな揃ったかなー?それでは、みんなでー、いただきまーす!」
「「いただきまーす!」」

出来上がったものをみんなで食べ始める。

蒼「・・・うん、美味しい。」
久保「本当ですね!先輩の家のカレーの味がします!」
蒼「味覚えてるんだ、凄いね。」
久保「すごく美味しかったので覚えてます!それにレシピも教えてもらったので家で作ったりしてましたから!」
蒼「そうなんだ、なんか嬉しいな。」
矢久保「蒼先輩!私と悠里ちゃんが作った卵焼きも食べてください!」
蒼「ありがとう、いただくよ。」

同じ班の矢久保に進められ卵焼きを食べようとする蒼。が、利き手でないため、うまく箸が使えない。

蒼「うーん、やっぱ箸は使いづらいな・・・え?」

苦戦している蒼の口元に、無言で卵焼きを一切れ持っていく飛鳥。

蒼「・・・ん、美味しい。」
矢久保「本当ですか!やったね悠里ちゃん!」
北川「やった〜、嬉しいです〜。」
矢久保「よし、じゃあこのまま蒼先輩に食べさせるぞ〜!・・・飛鳥先輩が!」
蒼「え、いや、カレーはスプーンだからあとは1人でだいじょう」
飛鳥「いいから食べろっ!」
蒼「んぐっ!!?」

今度は熱々のカレーを蒼の口にねじ込む飛鳥。熱がる蒼を見て爆笑している。

松村「あ、飛鳥とあおちゃんがいちゃいちゃしとる!まちゅも混ぜてー!」
与田「あ、飛鳥先輩ずるい!うちも蒼君に食べさせたい!」
七瀬「祐希行くならななも行こっ。」
蒼「マジかよ。」
生田「私の卵焼きも食べてよね!」
蒼「いや・・・それは遠慮します。」
生田「何でよー!絶対食べさせるから!」
蒼「ええ〜・・・」

こうして色んな女子から食べさせられた蒼。この光景は蒼の胃袋が限界を迎えるまで続いたのだった。


■筆者メッセージ

すみません昨日の更新忘れてました。
最近執筆があまり進んで無いのでたまに出せない時があるかもしれません。
でも最後まで続けるのに変わりはないので、皆さんどうかよろしくお願いします!
Haru ( 2021/12/04(土) 09:51 )