第6章
第127話

夏休みも終盤を迎えた週末。
時刻は朝7時。にも関わらず、蒼たちは朝早くから学校に集まっていた。

蒼「・・・41、42。あれ、今日って何人だったっけ?」
飛鳥「先生除いて42人かな。」
蒼「じゃあおっけーだな。深川先生、揃いました。」
深川「よし、じゃあちょっと早いけどもう出発しましょうか。じゃああなたたち、順番にバスに乗って!」
「「はーい!」」

3年から順にバスに乗り込む。
蒼は人数の再確認のため最後に乗車する。

蒼「・・・よし、全員いるな。えーと、俺の席は・・・」
松村「あおちゃーん、こっち!凪君の横空いてんでー!」
与田「蒼君、ここも空いてます!」
掛橋「先輩、沙耶香の隣来てください!」
田村「え、沙耶香の隣私いるんだけど!?」
掛橋「ごめんまゆたん、変わって!」
蒼「いやいや、変わらなくて良いから。じゃあ・・・」

蒼は掛橋、与田を通り過ぎ、凪の隣に座る。

与田「えー、蒼君待っとったのに・・・。」
蒼「まぁ、結構距離もあるし、途中で交代するから、ね?」
与田「あ、言ったよ!絶対やけんね!」
蒼「分かったよ。」

深川「じゃあすみません、お願いします。」
「はいよっ。」

今回の旅の運転手である生田のおじいさんに声をかけ、バスが発進する。

白石「うわーいよいよかぁ〜!すっごく楽しみ!ね、なぁちゃん!」
七瀬「うん!」
松村「まちゅも!早くBBQしたい!」
生田「も〜、まっつん食べ物のことばっかじゃーん!」
秋元「そういう生ちゃんもさっきからお腹鳴ってるけどね?」
生田「なっ、真夏、言わないでよ〜!」

車内で笑いが起こる。

その後蒼たち3年は蓮の持ってきたトランプで時間を過ごすことにした。

蒼「あれ、凪、トランプしないの?」
凪「うん、俺ゲームするー。」

そう言ってカバンからゲームを取り出す凪。

蓮「凪お前、こんな時までゲーム持ってきてんのかよ・・・。」
蒼「まぁ、これが凪だから。」
翔「確かに。じゃあ、他のみんなでしよっか。」

その後トランプに夢中になる蒼たち。
後輩たちはと言うと、お菓子を食べながら談笑したり写真を撮ったりとそれぞれで楽しんでいるようだった。
中にはよほど眠かったのか、到着するまでの間ずっと寝ている子も数人いた。

途中休憩を挟み走ること計3時間。
蒼たちは無事目的地である長野県の山奥に到着した。

生田のおじいさんにお礼を言いバスを降りると、向こうから、新内先生が歩いてくる。

生田「あれ、まいちゅん先生!なんでいるのー!?」
新内「こら、生田さん、新内先生ってちゃんと呼びなさい!私は食材の準備を橘君に頼まれてね、昨日から来てたのよ。ね、橘君。」
蒼「ありがとうございます新内先生。先生が居てくれてほんと助かりました。」
新内「いいのよ。まぁ、私も1人キャンプみたいで案外楽しかったし?」
蓮「絶対お酒飲んでたじゃん・・・。」
新内「こ、こらそこ!しーっ!」

明らかに慌てている新内先生。

蒼「図星なのか・・・。」
新内「よ、よーし!じゃあ学年ごとに並んで点呼取ってくださーい!あ、星野さんたちは橘君たち3年生のところに並んでね!」
「「はーい!」」

それぞれ点呼をとり、先生に報告する。

新内「よーし、みんな居るわね。じゃあ先に今日泊まるコテージに案内するから、1年生からついてきてください!」

先頭の新内先生に続き、1年から順に歩いていく。

数分後、大きな家(?)のようなコテージが姿を表す。

蓮「で、でっけー!!!」
蒼「すごいな・・・。」

あまりの大きさにみんな開いた口が塞がらない。生田以外は。

生田「うーん、やっぱいつみても大きいね!最高だー!」
白石「そっか、生ちゃんは毎年来てるんだっけ?」
生田「そー!おじいちゃんも来てるよ!」
蒼「コテージっていうからてっきり小さめの家みたいなのがいくつかあるんだと思ってたけど・・・ってことは、この中にいくつか部屋があるってこと?」
生田「せいかーい!えーとね、1、2・・・12個ある!1階に6部屋と2階に6部屋!」
蒼「凄いな・・・。」
生田「へへーん、いいでしょー!」

得意げな生田。

新内「今回特別に貸し切らせて貰ってるから、みなさんちゃんとお礼言うようにね!じゃあ、先に部屋割りを決めるので、1年生は4班、2年生は3班、3年生は2班に分かれてくださーい!あ、もちろん男子は4人で1班だから、女子で2班作ってね!」
「「はーい!」」
新内「分かれたところから先生のとこ来てくださーい!部屋の場所を伝えるので、荷物置いてくること!それが終わったらまたここに集合!いいかな!」
「「はーい!」」

班分けを終え部屋に荷物を置く。
荷物を置いたメンバーから元いた場所に集まる。

新内「よーし、揃ったかな?橘君、どう?」
蒼「大丈夫です、揃ってます。」
新内「よーし、じゃあみんなこっちについてきてくださーい!」


新内先生に連れられてやってきたのは一面芝で覆われた巨大な広場。
そこにテーブルやコンロが並べられている。

何をするのか気づいたみんなは一斉に喜びの声を上げる。


そう、今回の旅はじめてのイベント、BBQである。


Haru ( 2021/11/26(金) 14:44 )