第97話
蒼「ごめん遅くなった。」
白石「あ、やっと戻ってきた〜!遅いよ〜!」
蒼「結構店が混んでてさ。・・・あれ?七瀬と生田は?」
松村「それが、まだ戻ってないねん。そっちも混んでるんやろか?」
蒼「かもしれないね。ちょっと見てくるよ、みんなは食べてて?」
蒼はもう一度屋台の方へ向かう。
しかしどこを探しても見当たらない。
蒼「あれ、おかしいな。飲み物もここしか売ってないはずなんだけど・・・。」
蒼がそう言って戻ろうとした時。
「ちょっと、触らないで!」
「そんな固いこと言わずにさ、俺らとあっちで遊ぼうよ。」
男女の言い争う声が聞こえる。
声のする方を見るとそこには七瀬と生田の姿が。どうやら男2人に絡まれているようだった。
蒼「はぁ、またこのパターンか・・・。」
蒼は急いで2人の元へ向かう。
男A「ねぇ良いじゃん、2人なんでしょ?俺らも2人だしさ、ね?そっちの方が楽しいって!」
生田「だから、友達と来てるんだって!男の子もいるし!」
男B「またまた〜。本当はいないんでしょ?ほら、俺たちと遊ぼうよ。」
七瀬の手を掴む男。
七瀬「は、離してください!」
生田「なぁちゃん!っ、痛い、離して!」
もう1人の男が生田の腕を掴む。
生田「だ、誰か!」
蒼「ごめん2人ともお待たせ。」
生田「蒼君!」
七瀬「蒼!」
男A「ん?君誰?この子たちの知り合い?」
男B「男はあっち行っててくんない?」
蒼「そうしたいんですけど、生憎2人とも俺の大切なツレなんですよ。だから、その手離してもらえませんか?」
男A「なんだと?お前」
蒼「良いから離せよ。」
蒼の凄みに思わず顔が引きつる男達。
思わず手を離す。
蒼「ナンパなら他を当たってください、では。ほら2人とも、行くよ。」
生田&七瀬「う、うん。」
2人の手を引き歩く蒼。
数十メートル歩いたところで手を離す。
蒼「2人とも大丈夫?」
七瀬「うん・・・。」
生田「あ〜、怖かった〜。」
蒼「怖かった〜じゃなくて。2人とも、ああいう時は叫ばないと。何かあってからじゃ遅いんだからさ。」
生田「そうだよね、ごめん・・・。」
七瀬「ななも、ごめんなさい・・・。」
蒼「何もなかったからいいけどさ。もっと自分たちがかわいいってことを自覚して。・・・ほら、行くよ。」
そう言って生田の持っていた飲み物の入った袋を取り上げる蒼。
生田「あ、ありがとう蒼君!」
七瀬「ありがとう、蒼。」
蒼「どういたしまして。」
そうして無事2人を救いみんなと合流する。
白石「生ちゃんもなぁちゃんも、無事で良かった〜!」
生田「蒼君が助けてくれたの。なんか、ヒーローみたいだった!」
松村「さすがあおちゃん!まちゅが攫われそうになっても助けてくれる?」
蓮「いや、松村と白石さっき声かけられてたけど普通に自分たちで追い払ってたじゃん。」
翔「そうそう、凄かったよ。白石は黒石さん発動してたし。」
蒼「つえぇ・・・。」
白石「ち、違うからね!?たまたまと言うか何というか・・・。あ、ほら、みんな揃ったし続き食べよ!」
蓮「あ、話逸らした。」
その後仲良くみんなで昼食をとったあと、再び遊び始める蒼たち。
持ってきたボールでビーチバレーをしている。
白石「翔君、はい!」
翔「生田、打って!」
生田「行くぞ〜、えいっ!」
生田の打ったスパイクはタイミングがずれたものの、なんとか指先に当たり相手コートに落ちた。
生田「やった〜入った〜!いえ〜い!」
翔たちとハイタッチする生田。
飛鳥がその様子を眺める。
生田「なぁちゃん〜!おいで〜!」
七瀬「い、いいよ。ななバレー苦手・・・。」
生田「そんなこと言わずにさ〜!意外と楽しいよ〜!」
蒼「生田もあぁ言ってるし。せっかくきたんだからほら、行ってきな?」
七瀬「蒼・・・。う、うん・・・。」
小走りで生田たちのもとへ行く七瀬。
なんだかんだで教わりながら楽しそうにバレーをしている。
蒼「なんだ、普通に上手いじゃん。」
飛鳥「本当だ。私には無理だ。」
蒼「飛鳥も意外もできるかもよ?行ってきたら?」
飛鳥「いい、今は蒼と話してたい。」
蒼「そう?いつでも話せるのに、変なの。」
そう言ってジュースを飲みながらみんなを写真に収める蒼。
飛鳥「・・・ねぇ。」
蒼「んー?」
飛鳥「蒼ってさ、・・・なぁちゃんに告白されたんだよね?」
蒼「ぶっ・・・ゴホッゴホッ。」
ジュースを口からこぼす蒼。
飛鳥「ちょ、汚い!何してんの!?」
蒼「悪い・・・だって、飛鳥が急に変なこと聞くから。」
飛鳥「だって、なぁちゃんが言ってたんだもん。」
蒼「あぁ、そうなんだ・・・。」
飛鳥「蒼はそのさ、・・・なぁちゃんのこと、好きなの?」
蒼「え?あぁ〜、うーん・・・。まだ好きではない、かな?」
飛鳥「まだってことは、これから好きになるってこと?」
蒼「え、うーん、なんで言えば良いんだろ・・・。」
そういって七瀬のいる方を見た時、七瀬が足を押さえてしゃがみ込むのが見える。
蒼「あれ、七瀬・・・?飛鳥、ちょっとここ頼む。」
飛鳥「あ、ちょっと!・・・蒼のバカ。」
七瀬の元に走っていく蒼の背中を見ながら飛鳥はそう呟いたのだった。