第4章
第82話
リビングに行くと既に久保が起きていた。

久保「あ、おはようございます、蒼先輩!」
蒼「おはよう久保。はやいね、まだ7時だよ?」
久保「なんかちょっと目覚めちゃって。そういう先輩も早いですね!」
蒼「俺も目覚めちゃってさ。朝ごはん食べる?って言ってもトーストしかないけど。」
久保「いただきます!」

2枚分の食パンをトースターに入れる。
トーストを皿に乗せ、マーガリンとジャムを食卓に並べる。

蒼「はい、どうぞ。飲み物コーヒーで良い?ブラック飲める?」
久保「あ、ミルクとお砂糖お願いして良いですか?ブラック飲めなくて。」
蒼「おっけー。」

自分と久保用にコーヒーを作る蒼。
久保と向かい合うようにテーブルにつく。

蒼「はい、どうぞ。それじゃ、いただきます。」
久保「いただきまーす・・・ん、このコーヒー美味しい。」
蒼「でしょ、お気に入りなんだよね。」
久保「豆から選んでるんですか?」
蒼「近くの喫茶店でいつも挽いてもらってるんだ。良かったら今度行ってみる?」
久保「いいんですか、行きたいです!」
蒼「ん、んじゃ無事テスト終わったら行こっか。」
久保「はい!」

久保と何気ない会話をしながら朝食を食べる。食べ終わる頃には2階からぞろぞろと人影が降りてくる。

蓮加「あ、お兄ちゃんおはよ〜。久保も早いね〜、朝起きたらいないからびっくりしたよ〜。」
久保「おはよ〜、なんか目覚めちゃってさ〜。でもぐっすり寝られたよ!」
山下「先輩と久保2人で朝ごはん食べてたんですか〜?いいな〜、私も食べたかった〜。」
与田「うちもお腹空いた〜・・・。」
蒼「じゃあトースト焼くから、その間に顔洗っておいで。」
「「はーい。」」

こうして8時を過ぎる頃には全員が朝食を終え勉強を始めた。

9時になり玄関のチャイムが鳴る。おそらく飛鳥だろうと思い蒼は玄関を開ける。

蒼「はーい・・・ってやっぱり飛鳥か。おはよ。」
飛鳥「おはよう。てか、やっぱりって何よ。来ちゃダメだった?」
蒼「いや、またいつもみたいに来るだろうなとは思ってた。ほら、入るなら入って。」
飛鳥「おじゃましま〜す・・・ってなにこれ、めっちゃ靴あるじゃん。もしかして誰か来てる?」
蒼「まぁ、入れば分かるよ。」

飛鳥を中に招き入れる。靴を脱ぎ、ゆっくりとリビングの扉を開ける飛鳥。

大園「あ〜、飛鳥さんだ〜!」
飛鳥「桃子だ、それに梅たちもいるじゃん。どうしたの?」
梅澤「私たち昨日からここに泊まって勉強してるんです!明日からテストなので!」
飛鳥「ふ〜ん。」
与田「飛鳥さんも勉強しに?」
飛鳥「まぁね。蒼に勉強教えてもらおうと思って。」
与田「じゃあみんなで一緒に勉強しますか!」
飛鳥「それはやだ。私大勢いると集中出来ないもん。」
与田「え〜、じゃあ家で1人でやれば良いじゃないですか〜。」
飛鳥「蒼の部屋の方が捗るの!じゃあね、邪魔したら怒るから!行くよ蒼。」
蒼「あぁ、じゃあみんな、ちゃんとやるんだよ。」
与田「そんな〜。」

落ち込む与田たちを尻目に2人は2階へ上がる。

部屋に入ると蒼は何故か飛鳥に詰め寄られる。
蒼「え、何。」
飛鳥「昨日かっきーに勉強教えたんでしょ?」
蒼「え、うんまぁ。てか飛鳥が俺の名前出したんでしょ。」
飛鳥「だって、私の知ってる人で1番頭いいの蒼だし。それで、なんかあった?」
蒼「何もないけど?」
飛鳥「ほんとに?」
蒼「ほんとに。てか、そんなこと聞くために来たの?」
飛鳥「ち、違うよ!これはただ勉強の前に聞いとかないと気になるから聞いただけ。ちゃんと勉強するから!」
蒼「じゃあほら、勉強するよ。」

蒼がそう言うと飛鳥は大人しくテーブルに教科書とノートを広げ勉強を始めた、

いつもは1時間もすれば飽きて小説を読み始める飛鳥も今回は真面目に取り組んでいる。
珍しいこともあるもんだと自分の勉強に取り組む蒼だったが、飛鳥は急に手を止める。

蒼「ん、なに。どうしたの?」
飛鳥「別に。ちょっとお手洗い行くだけ。」
蒼「あ、なるほど。行ってらっしゃい。」
飛鳥「そういうのわざわざ言わなくていい。」

そう言って飛鳥が立ち上がろうとした時。

飛鳥「あっ・・・!」

バランスを崩した飛鳥が蒼の方へ倒れ込んだ。

Haru ( 2021/10/22(金) 12:26 )