第4章
第71話

店内に入り30分。
後輩たちは頭を抱えていた。

早川「あーどうしよう、決まらへん!かっきー決まった?」
賀喜「家に買って帰るお菓子は決まったけど、自分用のがまだ・・・。あ、あとクラスにもいるのかな・・・。」
田村「クラスにはお菓子たくさん入ってるの買ってみんなで出し合ったらどうかな?」
早川「それがええな!さっき向こうにクッキーの詰め合わせみたいなの置いてたで!」
賀喜「じゃあそれにする?」
田村「そうしよっか!」
早川「ほなせーら取ってくるわ!」

お菓子売り場へと向かった早川。
ふと蒼は掛橋とさくらの姿がないことに気づく。

蒼「あれ?さくらちゃんと掛橋は?」
賀喜「あの2人ならあそこにいますよ。」

賀喜の指す方向を見ると、グッズ売り場で熟考する2人の姿が目に入る。

2人の元へ行き声をかける蒼。
蒼「2人とも凄い悩んでるね。」
さくら「あ、先輩。そうなんです、キーホルダー買いたいんですけど、なかなか決められなくて。」
掛橋「沙耶香もです。どれもかわいくて・・・。」
蒼「まぁまだ少し時間もあるから、ゆっくり選んでいいよ。」
さくら「先輩はもう選んだんですか?」
蒼「何となくは決まったかな。あと自分用に何か買おうかなって。」
さくら「なるほど。自分用のは何にするんですか?」
蒼「これから決めるとこ。でも鞄につけたりする方が良いから、買うとしたらキーホルダーとかかなぁ。」
掛橋「あ、そうだ!」

掛橋が思いついたように顔を上げる。

蒼「どうしたの。」
掛橋「先輩、せっかくなのでお揃いにしませんか!」
蒼「2人で?」
掛橋「はい!」
蒼「うーん・・・まぁいいけど。」
掛橋「やった!」
さくら「ええ、沙耶香良いなあ、先輩、私も先輩とお揃いが良いです・・・。」
蒼「さくらちゃんも?」
田村「私も!」
早川「せーらも!」
賀喜「私も、お揃いがいいな・・・。」

蒼の後ろから3人が顔を出す。
蒼「うーん・・・じゃあこの際みんなでお揃いにするのはどう?その方が一緒に来たって感じしない?」
田村「賛成!」
賀喜「私も!」
早川「せーらも賛成!」
蒼「2人も、それで良い?」
さくら「はい、それがいいです!」
掛橋「良いですよ〜。でも、今度来た時は2人だけのお揃い買いますからね!」
蒼「いつか来れたらね。」
掛橋「絶対来ます!」

選ぶこと30分。
無事お揃いのキーホルダーを購入。
それぞれ他のお土産も買って店を出る。

田村「あー楽しかった!ね、みんな!」
早川「帰りたくない〜。」
掛橋「沙耶香も。」
賀喜「確かに、なんか寂しいね。」
さくら「いっぱい遊んだもんね。」
蒼「そうだね。」
田村「じゃあ最後にあそこでみんなで写真撮りましょう!」

スタッフに声をかけ遊園地をバックに写真を撮ってもらう。

田村「ありがとうございます!」
スタッフ「いえ、楽しんでいただけたようで何よりです!また来てください!」

「「はーい!」」

こうして蒼たちはスタッフに手を振りながら夢の国を後にした。

帰り道の電車。
後輩たちは疲れて気持ちよさそうに眠っている。

蒼「みんな寝てるし・・・。まぁ、いっぱい遊んでいっぱい歩いたもんな。」

ふと蒼が横を見ると、掛橋の頭が今にも隣の人にもたれかかりそうになっていた。
蒼はそっと掛橋の頭を抱え自分の肩の方に寄せる。

蒼「(これでよし、と。・・・ん?)」

もう片方の肩も重くなったので見てみると賀喜がそっともたれかかっていた。

蒼「俺動けないし・・・まぁいいか。」

と言いつつ、結局その後すぐに眠りについた蒼。この後6人は最寄駅付近に着くまで目を覚ますことはなかった。


Haru ( 2021/10/17(日) 12:56 )