第4章
第70話

いよいよ蒼の乗りたかったホラー系アトラクションに到着した。
といってもお化け屋敷ほどのホラー感はなく、夢の国の世界観に沿ったものとなっている。

蒼「ちょ、掛橋、くっつきすぎだって。」
掛橋「だ、だってすでに暗いんだもん!」
蒼「みんないるから大丈夫だって。」
掛橋「だ、だめです!」
蒼「歩き辛い・・・。」

掛橋は蒼の腕にピッタリとしがみついて歩いていた。

田村「沙耶香〜、先輩歩き辛そうだよ?」
掛橋「だって怖いんだもん〜。」
田村「今からそんなんじゃアトラクションどうすんの?」
掛橋「が、頑張る・・・。でも怖いもんは怖い!」
蒼「他のみんなは怖くないの?」
田村「私はまだ大丈夫です!」
早川「せーらもまだ大丈夫〜!」
賀喜「私もいけます。でも・・・」
さくら「・・・。」
早川「あれ?さくちゃん?」

後ろを振り返るとさくらは賀喜にそっとしがみついていた。

早川「なんだ〜、さくちゃんも怖かったんや〜!」
さくら「ち、ちょっと怖いけど、かっきーいるからなんとか・・・。」
掛橋「わ、私も先輩がいたら大丈夫だよ!」
田村「はいはい、強がりはいいから、先進むよ〜。ほら先輩も、進んでください!」
蒼「あ、あぁ。行くぞ掛橋。」
掛橋「ゆ、ゆっくりですよ!」

列に並んで約30分。そんなこんなで無事アトラクションのコースターに乗る。
どうやら1列に3人まで乗れるらしい。

蒼「ほら掛橋、先乗って。」
掛橋「わ、私真ん中にしてください!まゆたんも隣来て!」
田村「もぅ、しょうがないなぁ〜。じゃあ先輩、私先乗りますね?」
蒼「あぁ、悪いな。」
田村「いえ!まぁ、先輩の隣乗れなかったのは残念ですけど。」

そう言いながらも田村はコースターに乗り込み、掛橋を真ん中に乗せた後蒼も乗りこむ。

蒼「後ろの3人は大丈夫?特にさくらちゃん。」
早川「さくちゃん真ん中に乗せたので大丈夫です!」
蒼「さすが、2人とも頼もしいね。」
早川「えへへ。」

話しているうちにコースターがスタートした。最初は物語に沿ってゆっくりと進み、後半に一気にジェットコースターのようになるらしい。

隣の掛橋を見ると目を瞑っているようにみえる。
蒼「掛橋、それ見えてるの?」
掛橋「薄目で見てます・・・。」
蒼「そんな怖くないでしょ?」
掛橋「ちょっと慣れてきました。」
蒼「じゃあ手離していい?」
掛橋「それはダメです!絶対!」

掛橋はコースターが出発する前蒼に手を握ってほしいとお願いをした。
怖くなくなったら離すということだったが、どうやら無理らしい。

物語が終盤に近づき、徐々に不気味さが増していく。

掛橋「せ、先輩いますか!?まゆたんも!?」
蒼「・・・。」
田村「・・・。」
掛橋「え、ちょっと2人とも!!」
田村「うそうそ、ちゃんといるよ!」
掛橋「もう、びっくりさせないでよ〜!」
蒼「てか、手握ってるんだから居ないとおかしいでしょ?それこそお化けと手握ってることにな」
掛橋「怖がらせるのやめてください!先輩のバカ!」
蒼「怒られちゃった。あ、そろそろ来るよ。」
掛橋「え、来るって何が・・・きゃーーーー!」

予想通りの掛橋の反応に笑う蒼と田村。
掛橋はほぼ半泣き状態だった。

数分後、無事アトラクションが終わりコースターが停止する。

蒼「ふー、面白かったー。な、掛橋。」
掛橋「・・・。」
田村「先輩ダメです、今度こそ沙耶香死んでます。」

髪がボサボサになり放心状態の掛橋。

蒼「ほら、早く来ないと置いてくぞー。」
掛橋「・・・はっ!待ってくださいすぐ出ますから!」

コースターから2人を降ろしアトラクションを出る。

賀喜「ちょっと怖かったけど、面白かったね!」
早川「ほんま、ちょー面白かったー!」
田村「さくちゃんは?どうだった?」
さくら「怖かったけど、意外と楽しめたよ!」
早川「そう!後半ずっと笑ってたもん!」
蒼「それはそれで怖いな・・・。」
田村「沙耶香はずっと叫んでたね!」
早川「そうそう!後ろまで聞こえてたで!」
掛橋「そういうの言わなくていいから!」
蒼「このあとどうする?もう5時だけど。」
賀喜「うーんそうですね・・・あまり遅くなってもダメですしお土産買って帰りますか?」
田村「そうだね!それがいいと思う!」
蒼「じゃあそうしよっか。みんなもそれでいい?」
「「はーい!」」

こうして蒼たちは最後にお土産を買うためショップへと向かった。

Haru ( 2021/10/16(土) 18:21 )