第3章
第65話

帰り道。飛鳥は歩きながら、コーラを飲んでいる。

飛鳥「ぷはーっ。やっぱ運動後は炭酸に限りますなぁ!」
蒼「急にオヤジみたくなるの辞めて。こっちが戸惑うから。」
飛鳥「ちぇ、面白いと思ったのに。」
蒼「いや、面白かったけどね?いつもとキャラが違いすぎて。」
飛鳥「うるさいなぁ、足攣ったくせに。」
蒼「理不尽な。てかそれいじるのやめろ。頑張ったんだから。」
飛鳥「あ、ちょ、おい凪!痛っ、痛いってば!」
蒼「モノマネもやめろ。てか一言一句覚えてるの気持ち悪い・・・痛って!」

飛鳥に脛を蹴られる。
足を蹴られるのは今日で2回目だ。

蒼「痛いなもう。俺一応怪我人だからね?」
飛鳥「そんだけ元気なら問題ないでしょ。」
蒼「まあね。・・・てか飛鳥、ちょっとこっち側来て。」
飛鳥「なに急に、どうしたの?怒った?」
蒼「良いから早く。」

飛鳥は首を傾げながらも反対側に移る。
数秒後、スピードを出した自転車が飛鳥のいた場所を通り過ぎた。

蒼「ったく、危ねぇなぁ。てかさ、飛鳥も一応女の子なんだから、俺がいる時は歩道側歩けよな。俺が居なくてもだけど。」
飛鳥「う、うん。・・・ありがと。」
蒼「お礼言われるようなたいしたことしてないでしょ。」
飛鳥「まぁ、そうだけど・・・」
蒼「なに、どうしたの急に。」
飛鳥「・・・やっぱり蒼はかっこいいよ、そういうことさらっとやるし、それに今日だって・・・」

突然飛鳥が立ち止まる。
蒼が声をかけても動こうとしない。

蒼「飛鳥?」
飛鳥「今日だって、蒼凄くカッコよかった。みんなが蒼ばっかみてた。みんなが蒼を・・・」
蒼「飛鳥・・・。」

飛鳥が蒼の背中に頭をつける。

飛鳥「飛鳥ちゃんを1人にするな。」
蒼「してないでしょ。」
飛鳥「みんなと仲良くなったら私のことなんて見てくれなくなるかもしれない。一緒に帰ってくれなくなるかもしれない・・・。」
蒼「そんなことないから。仲良くなったとしても、飛鳥のことはちゃんと見てるよ。」
飛鳥「嘘だ。」
蒼「嘘じゃないよ。」
飛鳥「だって最近ずっと後輩と話してばっかで私の相手してくれないもん。」
蒼「確かに話す機会は増えたけど、ずっとは話してないでしょ?それに飛鳥と話してる方が断然多いよ?」
飛鳥「・・・。」
蒼「心配すんな。幼馴染を見捨てたりなんかしないよ。」
飛鳥「・・・ほんと?」
蒼「あぁ、ほんと。」
飛鳥「絶対?飛鳥ちゃんのこと見捨てない?」
蒼「絶対。てかするわけないでしょ。」
飛鳥「そっか・・・。へへっ、嬉しい・・・。」
蒼「ほら、泣き止んだら顔上げて。」
飛鳥「べ、別に泣いてないし!」
蒼「じゃあ顔見せて。」
飛鳥「あぁもう、うるさい!ほら行くよ!」

飛鳥は再び歩き出す。
横を通る時に目が赤くなっているのが見えたが、蒼は何も言わない事にした。

この後、いつも通りに戻った飛鳥と共に蒼は帰路に着いた。


Haru ( 2021/10/14(木) 09:05 )