第3章
第47話

声のする方へ振り向くとつい先程田村との話に出てきた2人がいた。

蒼「賀喜さんと、さくらちゃん。」
さくら「お久しぶりです蒼先輩。体育祭ぶりですね。それにあすぴーさんも。」
飛鳥「私をついでみたいに扱うなえんぴー!」
蒼「久しぶりだね。まさかこんなとこで会うなんてびっくりしたよ。」
賀喜「私たちもまさかお2人がいるなんて思ってなかったですよ!今日は・・・デートですか?」
蒼「んー、デートというかなんというか・・・まぁ、遊びに来たって感じかな?」
賀喜「それはデートでは・・・お二人は付き合ってるんですか?」
蒼「いや、付き合ってはないよ。幼馴染ってだけ。」
さくら「でもいいなぁ、私も蒼先輩とお出かけしたいです。もちろんあすぴーさんとも。」
飛鳥「ついで扱いするえんぴーとは遊んであげない。」
さくら「えぇ〜、蒼先輩は遊んでくれますか?」
蒼「いいよ、賀喜さんも一緒にね。」
賀喜「え、私もいいんですか?」
蒼「もちろん。また空いてる日教えて?」
賀喜「分かりました。あ、連絡先とか聞いてもいいですか?」
蒼「あ、そうだね。ちょっと待って。」
さくら「私も欲しいです!」

2人と連絡先を交換する。

さくら「へへっ、やったぁ。あすぴーさんもください!」
飛鳥「やだ、あげない。」
さくら「ええ〜、じゃあ蒼先輩からもらいます。今日の夜連絡しよーっと。」
飛鳥「わ、分かったあげるから!」
さくら「ふふっ、やっぱりあすぴーさんは優しいです。」

飛鳥もさくらと連絡先を交換する。流れで賀喜とも交換することになった。

賀喜「ありがとうございます。じゃあ私たちこの後映画観に行くのでこれで失礼しますね!また連絡します!」
さくら「蒼先輩、あすぴーさん、また学校で!」

2人の背中を見届ける。
ふと飛鳥を見るとケータイの画面を見て嬉しそうにしている。
視線に気づいた飛鳥が平然を装う。

飛鳥「なに?」
蒼「飛鳥、本当は連絡先交換できて嬉しいだろ。」
飛鳥「別に。えんぴーがしたいっていうからしただけ。」
蒼「の割には顔にやけてたよ。」
飛鳥「うるさいなあ。蒼だって喜んでるくせに。」
蒼「んー、まぁそりゃ仲良い後輩が増えるのはいい事だからね。」
飛鳥「・・・連絡取るの?」
蒼「まぁ、約束したからな。でも、そんな頻繁にはしないだろ。分かんないけど。」
飛鳥「私とは全然連絡取らないのに?」
蒼「飛鳥すぐ隣じゃん。窓開けたら話せるでしょ。」
飛鳥「・・・じゃあ今度から窓開けるから。話してくれる?」
蒼「まぁ、良いけど。」
飛鳥「絶対だからね。」

謎の約束を取り付けられた蒼。
2人は再び本を読み始める。周りから見れば仲が悪いのかと疑われるくらい無言だった。

蒼が気がついた時には既に日が沈み始めていた。

蒼「あれ、もう5時過ぎてる。早いな。」
飛鳥「ほんとだ、全然気がつかなかった。」
蒼「俺も、久々にこんな集中してた。」
飛鳥「私も。この後どうする?」
蒼「うーん、ちょっと服買いたいから飛鳥付き合ってくれない?すぐそこにショッピングモールあるからそこ行きたい。」
飛鳥「分かった、じゃあいこ?」

お会計を済ませ店を出た2人。
夕日が沈みゆく中2人はゆっくりとショッピングモールへと向かうのだった。

Haru ( 2021/10/04(月) 08:21 )