第3章
第46話

カフェに着き窓際の席に案内された2人。
注文を終え料理を待つ。

飛鳥「あーお腹空いたー。料理まだかなー。」
蒼「さっき頼んだばっかでしょ。」
飛鳥「ちぇー。仕方ない、さっき買った本でも読んでよーっと。」
蒼「その前にさ。はいこれ。」
飛鳥「? これさっき蒼が買ってたやつ?開けていいの?」
蒼「どうぞ。」
飛鳥「なんだろ・・・ってこれ!!さっき見てたやつ!何で買ってんの!?」
蒼「何でってまぁ、飛鳥へのご褒美的な?いらないなら貰うけど。」
飛鳥「い、いるいるもちろんいる!でもすっごい高いよこれ!?いいの?」
蒼「まぁ、今日だけ特別ね。テスト頑張ったし。」
飛鳥「嬉しい・・・へへっありがとう。ずっと大事にするね。」
蒼「本ぐらいで大袈裟だな・・・。まぁ、喜んでくれたなら良かった。」

飛鳥は嬉しそうにパラパラめくった後、大事そうに袋に戻した。

待つこと15分、注文した料理が到着する。

店員「お待たせしました和風オムライスとボロネーゼです・・・って橘先輩!?」
蒼「ん、そうだけど、君は?」
店員「あ、すみません!私乃木高1年の田村真佑って言います!入学式の挨拶、すごく感動しました!」
蒼「あ、ありがとう。嬉しいよ。」
田村「体育祭でも凄かったです!さくちゃんやかっきーが教室で話してるのも分かります!」
蒼「あ、2人と同じクラスなんだね。仲良くしてあげてね。」
田村「はい!あ、実はもう1人私と同じクラスの子がここで働いてるんですけど、連れてきてもいいですか?あ、でもそっか・・・今お邪魔するわけにはいきませんね!また学校でお話しさせてください!」
蒼「そうしてもらえると助かるよ。」
田村「じゃあまた学校で!ごゆっくりどうぞ!」

田村は2人に一礼をして戻っていく。

蒼「なんかすごい大人びた子だったね。ね、飛鳥。」
飛鳥「そうですね。」
蒼「何で怒ってんの。」
飛鳥「別に怒ってないし。」
蒼「悪かったって。ほら、冷めないうちに食べよ。いただきます。」
飛鳥「いただきます・・・あ、美味しい。」

料理を食べ始めると先程拗ねていたのが嘘のように笑顔になる飛鳥。

飛鳥「ねぇ、蒼の一口ちょうだい?」
蒼「しょうがないな・・・ん、ほら。」
飛鳥「え?」
蒼「え?じゃなくて。口開けて。」
飛鳥「い、いいよ自分で食べるから!」
蒼「もう取っちゃったから食べなよ。はい、あーん。」
飛鳥「あ、あーん。・・・。」
蒼「どう?」
飛鳥「おいひぃ。はい、蒼も。あーん。」
蒼「え、俺はいいよ恥ずかしいし。」
飛鳥「もう取っちゃったから食べて!はい、あーん!」

仕返しのつもりだ。そう思いながらも口を開け食べる。

蒼「ん、こっちも美味しい。」
飛鳥「ふふっ、良かった。」

その後料理を食べ終えた2人は、店員にお願いし外のテラス席に移動させてもらった。
というのもまだ2時過ぎということもあり店内が混み合ってきたのでここで本を読むのは忍びないと思ったからだ。

蒼「ここならゆっくり読めそうだな。」
飛鳥「うん。」

席に座り本を読み始めたその時。

「あれ、蒼先輩と飛鳥先輩?」




Haru ( 2021/10/04(月) 08:19 )