第2章
第34話

七瀬が戻って数分後、蒼も立ち上がり部屋に向かう。

蒼「生田達のデュエット終わってるだろうし、絶対怒られるなこれは・・・。」

戻りながら言い訳を考えていると、どこかから若い男女の話し声が聞こえる。

蒼「(俺ら以外にも学生いたのかな・・・もしかしたら同じ学校とかだったりして。)」

そう思いながらも気にせずみんなのいる部屋のドアを開けようとした時。

?「や、やめて、離してよ!」

女の子の嫌がる声が聞こえる。
不審に思い曲がり角から声のする方を覗くと、乃木高の制服を着てる女子生徒といかにもチャラ男と言わんばかりの格好をした男が2人立っている。

男A「良いじゃんか、ちょっと俺たちの部屋来て遊ぶだけだから。」
男B「そうそう、男2人で暇なのよ。だからお願い、ね?」
?「嫌に決まってるでしょ、私みんなのところに戻りたいの。早く離して!」
男A「少しだけだから、ね?ほら来てよ。」
?「嫌です、嫌、だ、誰か!」
男A「呼んだって誰も来ないから。ほら早く。」
?「嫌!離して!」
男A「チッ、良いから早く来い!」
?「あっ!」

女の子が引っ張られたその時、男の手を蒼が掴む。
蒼「あの、俺の後輩に何か用ですか?」
男A「ああ?何だお前。男に用はねえよ、あっち行ってろ。」
蒼「じゃあこの手を離せ。」

蒼は思い切り力を込める。
ビックリしたのか男は女子生徒から手を離す。
男A「痛って!てめぇ、何しやがる!」
蒼「何って、あんたが彼女連れて行こうとするから、止めてるってだけですよ。」
男A「舐めやがって!」
逆上した男が蒼に殴りかかってくる。が、蒼はそれを躱し、腕を掴み背負い投げする。
男は突然のことで受け身を取れず背中から落ちた。

男A「かはっ!」
蒼「まだやりますか?これ以上はお互いやめておいた方が得策だと思いますけど。」
男B「く、くそっ!」
もう1人の男は敵わないと思ったのか倒れている仲間を置いて逃げ出した。
男A「あ、おい待てって!くそっ、覚えてr・・・」

立ち上がろうとする男の襟元を掴み、顔を近づける。

蒼「もし次俺の周りの人間に何かしたら・・・誰だろうとタダじゃ済まないので、そのつもりで。」
男A「・・・チッ。」
男はそれ以上何も言わず静かに去っていった。





Haru ( 2021/09/26(日) 16:37 )