第2章
第31話

閉会式を終えた蒼たち。

白石「いや〜、ほんと優勝出来て良かった!私体育祭で優勝なんて経験したことなかったから!」
松村「まちゅも!でも、総合優勝とられたんは悔しいな〜。」

学年では優勝した蒼たちだったが、総合優勝は2年生の若月先生のクラスに取られてしまった。

翔「あのクラス2年でぶっちぎりだったんでしょ?そりゃ勝てないよ。」
真夏「普段若月先生と仲良い桜井先生も、今日は悔しそうだったね〜。」
蓮「まあでも、優勝したことだし!片付け終わったらみんなで打ち上げしようぜ〜!」
生田「いいねそれ!蓮君もたまには良いこと言うじゃ〜ん!」
蓮「あれ、もしかして俺バカにされてる?」
蒼「誰に聞いてんの。」

そんなことを言いながら着々と片付けを進めていく。ふとテントの部品を運んでいると、数メートル先に掛橋がいるのが目に入る。
だが、向こうは下を向いているため蒼に気付いていない。どうやら、落ち込んでいるようだ。

蒼「おーい掛橋、どうした・・・」

声をかけようとしたその時、掛橋の横を男子生徒が通り過ぎる。

生徒A「あーあ、誰かさんが転けたせいで優勝逃した。あーあ。」
生徒B「ほんと、俺たちの努力返してほしいわ。誰かさんのせいで。」

周りで聞いていた生徒も異変に気づく。
近くにいた遠藤と賀喜が掛橋に近づく。

賀喜「ちょっと男子!負けたのは沙耶香のせいじゃないでしょ!」
さくら「そ、そうだよ。沙耶香は悪くないよ。」
生徒A「は?どう考えてもそいつが悪いでしょ。そいつが転けなかったら俺たちは勝ってた!」
生徒B「そうだ、全部そいつのせいなんだよ!」
掛橋「・・・・・・。」

掛橋がしゃがみ込みとうとう泣き出す。賀喜と遠藤は掛橋を励ましながら男子生徒を睨んでいる。

七瀬「何あれ、最低・・・。」
白石「ちょっと!あんたたちねぇ・・・」

蒼「・・・おい。」

その時、普段の蒼からは考えられないほどの低い声が発せられた。


Haru ( 2021/09/25(土) 10:27 )