第27話
「せーのっ!いーちっ、にーっ、・・・」
大縄が始まった。5分間で何回飛べるか数え、途切れたらまた初めから数え直す。そして一番多い回数で順位を決めるというシンプルなルールだ。
各クラスが声を出しながら数を数える。
「「さんじゅいちっ、さんじゅにっ、さんじゅさ・・ああ〜!」」
誰かが縄に引っかかり、回数が止まる。
設楽「だ〜っ!まだ最初だ、時間はあるからな!焦らずにいけ!」
蒼「はい!いくぞー、せーのっ!」
「いーちっ、にーいっ、さーんっ・・・」
失敗しては初めからを繰り返す。しかし、回数は一向に上がらない。
一方日村、高山先生のクラスは着実に回数を重ね
司会「えー、現在日村先生クラス101回、高山先生チーム89回、設楽先生チーム32回です!設楽先生チーム頑張ってくださ〜い!」
気がつけば他のクラスと大きな差が開いていた。
蓮「くそっ・・・。」
白石「知ってたけど結構きついね・・・。」
真夏「ごめんみんな、私が引っかかってばかりだから・・・。」
七瀬「真夏だけのせいじゃないよ」
生田「みんな大丈夫だよ、まだチャンスはある!」
松村「せやで!まだ時間はある!」
生田や松村が指揮を上げるも、気がつけば残り時間も1分を切っていた。
司会「残り1分です!現在最高は日村先生クラスの101回です!」
七瀬「101回・・・。ななたち練習でも45回しか飛べたことないのに・・・。」
みんなすっかり疲れしゃがみこんでしまい、元気をなくしていた。
すると蒼が立ち上がる。
蒼「みんな、提案なんだけど、ラスト1回、最後のチャンスに賭けよう。あと1分残ってる。だから、残り10秒まで休憩、どう?」
翔「・・・そうだな、闇雲に飛んでも仕方ないし、それに賭けよう。」
白石「よしみんな、ラスト1回、頑張ろう!」
「おおっ!」
全員が体力回復に努める。
周りの観客はもう諦めたものだとため息をついている人もいた。
設楽「お前ら〜、最後1発、見せてやれ〜!」
「「はいっ!!」」
蒼「よし、準備はいいなみんな!ラスト1回、いくぞ!せーのっ!」
「「いーちっ、にーいっ、さーんっ・・」」
全員で声を出し、数えていく。
時間を過ぎてもまだ続いている間はそのまま飛び続けても良いルールということを思い出し、蒼はこの作戦を考えついた。
他のクラスが全員見守る中、設楽軍の声だけがグラウンドに響く。
「「よんじゅさーん、よんじゅしー、よんじゅごー、よんじゅろーく・・・」」
今までの自己新記録、順調に進めていく。
だが徐々にみんなの声も小さくなっていく。
白石「みんなー、声出せ〜!」
白石が指揮を上げる。
「「はちじゅきゅー、きゅーじゅー、きゅうじゅいーちっ、きゅうじゅにっ・・・」」
あと10回。いける、蒼たちは最後の力を振り絞る。
そして、遂にその時を迎えた。