第2章
第16話

入学式からはや1週間。
この日も蒼はいつも通り飛鳥と登校している。

飛鳥「暑い・・・。」
蒼「まだ4月なのにそんなこと言ってたら夏どうなるんだよ・・・。」
飛鳥「溶ける。」
蒼「なに、飛鳥って雪で出来てんの?」
飛鳥「暑いもんは暑いんだから仕方ないでしょ!そもそも蒼が自転車無いのが悪い!」
蒼「仕方ないだろパンクしてたんだから。」
飛鳥「学校まで飛鳥ちゃんを運べ!」
蒼「無茶言うな。」

グダグダ言いながら歩いていると、

?「きゃっ!」
蒼「おっと・・・。」

1人の女の子とぶつかりそうになる。
ビックリして尻餅をついた彼女に蒼はそっと手を差し出す。

蒼「ごめんね、大丈夫?」
?「いえ、私も走っててすみません・・・ってあれ?」
蒼「ん?」
?「あの、もしかして橘先輩ですか?入学式で挨拶してた・・・。」
蒼「そうだけど・・・よく覚えてるね。」
?「私1年の遠藤さくらっていいます。実は、あの時の挨拶、すごく感動して・・・。」
蒼「大したこと言えなかったけどね。」
さくら「そんなことないです!私、入学式始まるまで不安でいっぱいだったんですけど、橘先輩の言葉聞いてすごく勇気がもらえて・・・だから先輩はすごいです。」
蒼「なんか照れるな・・・。でもありがとう。」
さくら「いえ・・・。あ、えっと・・・もしかして彼女さんですか?」
蒼「ああ、幼馴染だよ。飛鳥ほら。」
飛鳥「齋藤飛鳥。よろしく。」
さくら「遠藤さくらです。よろしくお願いします・・・。」

飛鳥はさくらをずっと見つめている。

さくら「えっと・・・なんでしょう・・・。」
飛鳥「えんぴーって呼んでいい?」
さくら「え?」
蒼「は?」
さくら「えんぴー・・・ですか?」
飛鳥「そう、えんぴー。まあ、嫌なら呼ばなくてもいいんだけど・・・。」
さくら「・・・いえ、嬉しいです。じゃあ、さくもあすぴーさんって呼んでも良いですか?」
飛鳥「えー・・・うんまぁ、良いけど・・・。」
さくら「へへっ、じゃあ、あすぴーさんって呼びますね。あすぴーさん。」
飛鳥「や、やっぱなんか恥ずかしいからダメ!」
さくら「えぇ、いーじゃないですかあすぴーさん〜。」
飛鳥「おいえんぴー絶対からかってるだろ!」
さくら「からかってないですよ〜。」
蒼「ごめんね、飛鳥ツンデレだから・・・って痛っ!」
飛鳥「うっさいバカ!」
さくら「仲良しですね。」
蒼&飛鳥「「仲良くない!」」


その後もわちゃわちゃしながら歩き、気がつけば正門の近くまで来ていた。

蒼「そういえば忘れてたんだけど、遠藤さん急いでなかった?」
さくら「あ、忘れてた・・・」
さくらがそう言うとほぼ同時に正門から走ってくる女の子が目に映る。

?「さくちゃん遅い〜!」
さくら「ごめんかっき〜、先輩たちと話してたらすっかり忘れちゃって・・・。あ、同じクラスのかっきーです。」
賀喜「さくちゃんと同じクラスの賀喜遥香です。よろしくお願いしますね、橘先輩と齋藤飛鳥先輩!」
飛鳥「ちょっと待って、この前挨拶してた蒼はわかるけど、何で私の名前まで知ってんの?」
賀喜「1年の間で有名ですよ?毎朝一緒に登校してる美男美女カップルがいるって。それで気になって調べたところ、お二人に辿り着きました!」
蒼「調べたんだ・・・。って飛鳥、何で顔赤くしてんの。」
飛鳥「ふ、ふふっ、美女、美女だって。そっかあ、後輩たちは早くも飛鳥ちゃんの魅力に気づいたかあ!」
蒼「見た目だけな。」
飛鳥「どういう意味だ!」
賀喜「お二人とも本当に仲良いですね、羨ましいです!では、そろそろ戻らなきゃなので!さくちゃん、行くよ!」
さくら「あ、待ってよかっき〜!橘先輩、あすぴーさん、ありがとうございました!また話しましょう〜!」

そう言って2人は去っていく。

蒼「・・・なあ飛鳥、俺思ったんだけど。」
飛鳥「なに。」
蒼「やっぱこの学校、レベル高いんだな。」
飛鳥「私も思った。」

そう話しながら2人も教室へ向かうのだった。


Haru ( 2021/09/14(火) 10:45 )