第11話
病院からの帰り道。
七瀬「そっか、聞いてたんやな。」
蒼「ホントにごめん。買い物から帰る途中で外から待合室に七瀬さんいるの見かけて、心配になってついて行きました。」
七瀬「蒼くんストーカーやん。」
蒼「返す言葉もないです・・・。」
七瀬「ふ、ふふっ、嘘、冗談やで。でも、ビックリはした。だって、診察室出たら蒼くんがおるねんもん。」
蒼「ほんとにごめん。でもさ・・・さっきの・・・本当なのか?」
七瀬「・・・冗談だったら良かったんやけどな。レントゲンも見たけど、冗談じゃないっぽい。」
蒼「じゃあ、七瀬さんが東京に来たのって」
七瀬「そう、病気の治療するため。って言っても、半年前に手術した時は徐々に回復しててん。んで、念のため東京の大きい病院で経過見たほうが、最新の設備も揃ってるし、もしもの時にすぐ治療出来るって言われて。でも、ちょっと遅かったみたいやなあ。」
蒼「手術は・・・受けるんだよね?」
七瀬「もちろん、助かる可能性が高い方選びたいよ?でも、手術したとしても完治する可能性は低いって言われたし、ななの身体もいつまで持つかどうかって。ほんと、困るよな。散々手術とか治療してきて、結局助からんのかい!って心の中で思わずつっこんだわ。」
蒼「・・・・・・。」
七瀬「ああー、ごめん、変な話きかせてしまった。忘れて!」
蒼「忘れられるわけないでしょ。」
七瀬「せやんな〜。でも、みんなには言わんといてな?これは蒼くんとななだけの秘密。」
蒼「・・・分かった、言わないよ。」
七瀬「約束やで?あー、ほんとは早く病気治して、思い出いっぱい作れたらいいなって思ってたのに、ついてないな・・・。」
蒼「・・・あのさ。」
七瀬「ん?」
蒼「俺に七瀬さんの1年預けてくれないかな。」
七瀬「ななの1年を預ける?蒼くんに?」
蒼「俺には七瀬さんの病気を治すことはできない。でも、最後の高校生活を最高にすることはできる。だから、七瀬さんがこの1年最高に楽しかったって言えるような思い出をつくれるよう、俺に手伝わせてくれないかな。」
七瀬「・・・それって告白?」
蒼「あ、いや、そういうつもりじゃなくて・・・」
七瀬「ふふっ、冗談やで。・・・うん、ななの人生、蒼くんに預けるわ。やから、えーと・・・よろしくお願いします?」
蒼「結局告白みたいになってるじゃん。」
七瀬「あれ、ほんまや。でも、これからよろしくな。蒼くんやみんなのおかげで、学校生活楽しめそう。」
蒼「うん、いっぱい思い出作ろう。」
七瀬「うん。あ、じゃあななこっちやから。」
蒼「送るよ。」
七瀬「んー、嬉しいけど今日は遠慮しとくわ。また今度一緒に帰ろ!」
蒼「そっか、わかった。じゃあ、気をつけて。また明日学校で。」
七瀬「うん、また明日ね。」
七瀬が見えなくなるまで見届けた後、ゆっくりと家に帰るのであった。