日常
第33話
無事優菜が服を持ち部室棟まで来てくれ、白石も外に出れる状態になった。
荷物もどこかに隠されてしまい完全に手ぶらで夜の学校を先生にバレないようこっそりと抜け出すぼくたち。

「そんなことがあったんですね…」

今日あったことを聞きいつもより数段低いトーンでつぶやく優菜。

「うん…、でもありがとう!優菜ちゃんのお陰でなんとかなったよ…!」

空元気だ。顔は笑顔だが目は笑っていない。僕にはそう思えた。

「本当に助かったよ。ありなとな。」

その場に気まずい沈黙が流れる。

「あ!そーだ!忘れてた。焼肉!」

「え?」

くそう。運良く忘れてくれてないかなと少し期待したがそううまくはいかなかったようだ。

「え、焼肉??」

そこの交渉のやりとりを知らない白石が不思議そうに聞く。

「そうなんです!私がお兄ちゃんに協力するかわりにこの帰りに焼肉連れて行ってくれるって!」

「あ、そーなの?…でも、これは私のせいだから私がご馳走するよ!」

そう言ってポケットに手を突っ込み、はっ!という顔をする。
当たり前だ。荷物がないのだから財布もない。

「ご、ごめん…いま、ないんだった…」

「いやいや、白石が悪いんじゃないよ…。いいよ!今日は2人にご馳走するよ!」

「いぇーい!」

珍しくテンションが上がる優菜。

「え、でも…申し訳ないよ…。助けてもらった上にご飯まで…。」

申し訳なさそうに俯く白石。

「いやいや、気にしなくていいよ!」

「そうですよ!白石さんの裸見たんですから!その分だと思えば安いもんですよ!」

バッサリという優菜。
自分の顔がカァーッと赤くなるのがわかる。熱い。
白石の方を見ると、僕と同じく顔を赤らめていた。

「あ…ごめんなさい。」

空気を察して謝る優菜。

「ううん?いいんだよっ!じゃあ直樹!ご馳走でーす!」

「お肉〜♪お肉〜♪」

「優菜ちゃんいこ?」

そういい手を繋ぎ走り出す2人。

「ちょっと!待ってよ!」

白石に笑顔が戻ってよかった。
明日どうするか…それはまた後で考えよう。
そう思い2人の後を追う僕だった。

■筆者メッセージ
更新が2日空いてしまい申し訳ありません。
休養日にさせていただきました。
今日からまた更新していきますのでよろしくです!
前回分110越えの拍手!ありがとうございます!
本当に励みになります!
これからもよろしくお願いします!
ちぇくの ( 2018/12/04(火) 21:09 )