第1話「1人目」part1
『異世界転生』と聞いて
真っ先に頭に浮かぶシチュエーションはどんなものだろうか?
例えば、
トラックに轢かれそうになり、
目が覚めたら異世界で……
王宮に召喚されるパターンや、
田舎で目が覚めるパターン、
「転生場所」として飛ばされるのは
大体こういうところだろう。
しかし、〇〇は例外だった。
〇〇は異世界で
「人の頭上」に飛ばされた。
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【乃木坂5期生奴隷ハーレム】
第1話
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のどかな田舎道を
馬車がゆっくりと走っている。
どこまでも続く山と畑の綺麗な景色。
馬に乗るのも初めてだったが、
そんなこと気にならないほど
〇〇は興奮していた。
「いやー、それにしても、本当に助かりましたよ。」
髭が特徴的な男が話しかけてくる。
「全く、物騒な世の中になったものですな。」
「まさか………こんな田舎道で盗賊に出くわすとは。」
〇〇「ま、まったくですね……ははは………」
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2人が出会ったのは
ほんの10分ほど前。
この髭の男が盗賊に襲われそうになっているところ、
その盗賊の頭上に、〇〇は突然現れた。
〇〇『……ん?』
ドスっっっ‼️と大きな音を立てて
盗賊を下敷きにしてしまった〇〇。
〇〇『いてて………』
『あ、すみません。』
『…………ん?』
辺りを見渡す。
確か自分は仕事に疲れて、
風呂も入らずにソファで寝落ちしたはずだった。
〇〇『……………え?』
盗賊は自分の下で気を失っていた。
〇〇はここがどこだか分からない。
そんな困惑している〇〇に
髭の男は命を助けてもらったお礼を伝えた。
そして、
〇〇の「ここがどこか分からない」という言葉を聞き、
「街まで送る」と、強引に馬に乗せたのだ。
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そして今に至る。
2匹の馬が大きな馬車を引いている。
右側の馬に髭の男が座り、
〇〇は左側の馬に跨っている。
乗馬をするのも初めてなので少し怖い。
髭の男「いやー、しかし驚きました。」
「周りには誰もいなかったはずなのに、突然あなたが現れたのですから。」
馬に揺られながら話す男。
髭の男「もしかして、魔法をお使いになるのですか?」
〇〇「魔法?」
「は……はは……そんなわけないじゃないですか」
少しずつ、この世界の輪郭が見えてくる。
髭の男「なんと!魔法を使わずに、気づかれぬよう相手の背後から攻撃したわけですか…」
「本当に感謝いたします。命の恩人です!」
〇〇「あ、いえ………。」
苦笑いのまま顔が固まる。
頭がフラフラしてきた。
思わずバランスを崩しそうになる。
髭の男「だ、大丈夫ですか?」
「落馬にお気をつけください。」
〇〇「すみません。少し目眩が。」
「後ろの荷台で横になってもいいですか?」
2匹の馬が引いている大きな馬車の方をチラッと見る。
髭の男「いやー、それは…」
「中は……荷物がいっぱいでして……」
やんわり断ろうとする髭の男。
しかし、
あまりにも〇〇がフラフラしているので危ないと思ったのか、馬を止めて荷台に案内してくれた。
〇〇 (よく漫画とかアニメで見る異世界転生ってやつ…?)
(嫌な夢だな)
頭を抱えて髭の男についていく。
髭の男は勢いよく荷台のカーテンを開けた。
シャー❗️
〇〇「………ッ!」
中を見て驚く〇〇。
首輪をつけられた人がたくさん座っている。
髭の男「客人だ。触れるでないぞ。」
ドスの効いた声で彼らに注意する髭の男。
〇〇「あ、あの……この人たちは…?」
髭の男「いやぁ、わたくし奴隷商でして。」
「----。--------。」
「--、----、------。」
続きの言葉は頭に入らなかった。
『魔法』『奴隷商』
ここが一体どういう世界なのか理解したと同時に
冷や汗がダラダラと出てきた。
さっきから自分の太ももをつねっているが
しっかりと痛みが伝わる。
夢ではないようだ。
髭の男「だ、だいじょうぶてすか?」
さらに顔色が悪くなる〇〇。
〇〇「あぁ……すみません」
「あまり寝てなくて……。笑」
髭の男「街まで小1時間ほどありますので、どうぞお休みになってください。」
「では。」
そう言ってカーテンは閉められた。
細身の男性、
腕の太い男性、
髪の綺麗な女性。
みんな首輪をつけている。
中でも目を引く美少女が1人。
最後部で大人しく座っている。
なぜか皆、
前の方にぎゅうぎゅう詰めで座っていて
彼女の周りは席が空いている。
〇〇は不思議に思いながら、
彼女の隣に座った。
〇〇「……隣、いいかな?」
「え、あ、、、、あ、」
「…はい……」
のちに名前を知ることになる
「なぎ」という17歳の女の子と出会った。
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約1時間後、
馬の足が止まったことに気づいた。
門番となにやら話をしている。
「ご苦労様です。今回はかなり遠かったでしょう?」
「いやー、疲れました。笑」
「そうだ、帰りに盗賊に襲われたんですよ!」
「それは大変でございましたね…」
「奴隷が狙いでしょうか?」
「いやぁ、私にもそのあたりは-----」
なにやら話が盛り上がっているようだ。
数分後、
再び馬車は動き始めた。
街に入ったようだ。
しばらくして、カーテンが開いた。
髭の男「な、、、」
「よりにもよって……」
少し驚いた顔を見せ、
慌てて中に入ってきて〇〇の腕を掴み、立たせる。
なぎは申し訳なさそうに俯いている。
他の奴隷と何か違うのだろうか。
髭の男「アオバに到着いたしました。」
どうやらこの街は「アオバ」というらしい。
大きな荷台から外へ出ると、
中世ヨーロッパのような街並みが広がっていた。
どうせ元の世界に戻ったとしても、ブラック企業での労働が待っているだけである。
少し、こちらの世界で生きていくのも悪くないと感じ始めた。
〇〇「………すげぇ。」
髭の男「で、どちらからいらしたのですか?」
〇〇「!」
「あー、」
「言っても分からないほど遠くから。笑」
髭の男「なるほど……。ではこのアオバのことも何も知らないでしょう?」
「宿は取られておいでですか?」
〇〇「いえ…なにも決めてなくてですね…。」
髭の男「では、助けていただいたお礼です。」
「私が所有しているホテルの部屋をお貸しいたしますよ。」
この奴隷商はホテルまで所有しているらしい。
相当な金持ちかもしれない。
〇〇「よ、よろしいのですか?」
髭の男「はい。」
「なんなら、宿泊中はうちの奴隷をお貸しいたします。身の回りのお世話をさせてください。」
〇〇「あ、ではさっきの綺麗な女の子で……。笑」
〇〇はなぎのことを思い出した。
髭の男「か、彼女ですか……」
「あの……お気づきになられていないと思うですが、彼女は獣人ですよ?よろしいのですか?」
〇〇「…獣人?」
髭の男「ええ。」
「猫の獣人族です。」
「といっても、生まれつき尻尾が生えていない異形の子ですが。」
「猫耳もかなり小さいですが頭を撫でれば確認できますよ。」
〇〇 (獣人か…初めて見た…)
ほんの少しだけテンションが上がる〇〇。
〇〇「全然僕はいいんですけど、獣人の何がいけないんですか?」
髭の男「………あなたはかなり遠方から来られたようですね。」
「獣人というのは基本的に人間から虐げられてきた生き物です。人の形をした野蛮な獣ですからね。」
人種差別のようなものだろうと理解した。
〇〇「……そうですか。」
「まぁ、僕は気にしないので大丈夫です。笑」
髭の男「……そうですか。なら彼女をおつけしましょう。」
そう言いながら荷台に向かう。
髭の男「幸いにも尻尾が生えておりませんから、獣人だと言わない限りはバレないと思います。」
「普通の人間に見えるので、冷ややかな視線を感じることもないでしょう。」
勢いよくカーテンを開け、
彼女を手招きする。
髭の男「なぎ、ご指名だ。」
「1週間、この男性の身の回りのお世話をしなさい。」
〇〇 (なぎちゃんか……可愛い名前だな)
なぎ「……かしこまりました。」
震えた小さな声を出し、中から出てくる。
太陽の光を浴び、
さらに彼女の肌が綺麗に見える。
髭の男「ホテルはあちらです。」
「お部屋は……そうですね。準備しておくで30分ほど経ってから入室ください。」
街を回って30分時間を潰せ、ということだろう。
男は色々と説明した後、再び馬に跨った。
髭の男「では、のちほど。」
会釈して馬に合図を出し、ゆっくりと歩き出す。
知らない世界の、
知らない街で、
知らない女の子と2人きりになってしまった。
なぎは不思議そうに
〇〇を上目遣いで見つめている。
「なぜ獣人の私を指名したのだろう」と顔に書いている。
〇〇「えっと………よろしくね。」
なぎ「よ、よろしくお願いいたします。」
2人の物語が始まった。
- つづく -