不思議な客
01 起
「2点合計で1680円です」

 僕は馴れた手付でレジを打つ。そのまま、お客さんが購入した2冊を袋に入れトレイに出されたお金に手を伸ばす。

「よろしいでしょうか?2000円お預かりします」

 レジに金額を入力し、お釣りを取り出す。

「320円のお返しとレシートのお渡しとなります。ありがとうございました」

 最早、体に染み付いた一連の動きを繰り返し頭を下げ、客を送り出す。バイトを始めたばかりの数年前までは緊張もしていたが、今となっては別のことを考えながらでもこなせるようになってしまっている。

 ここは駅前の本屋。
売り場面積こそは狭くはないが、利用客の少ない駅ということもあってか客足は今ひとつといったところか。

 そんな暇を持て余し気味の僕にも密かな楽しみがある。

 それは、ある1人の不思議なお客さんの来店。その客はだいたい同じ時間に上下真っ黒のスーツと薄緑のネクタイを身に纏い、毎回毎回、大学の問題集をピン札の1万円札で購入し領収証を要求する。

 その特異な外見と支払い方法もさることながら、毎回違う大学の問題集を購入して行くので、「今日はどこの大学だ?」と心の中で確認するのが暇を持て余す僕のささやかな楽しみだった。

「いらっしゃいませ」

 そして、今日も入口に件のお客さんが表れ、僕は一つの楽しみを得た。


■筆者メッセージ
って事で短篇です



塩さん
拍手メッセの方にもわざわざご意見ありがとうございます

感性は人それぞれですよね?
私個人と作品を貶すのはかまいませんが、あんな作品でも楽しんで読んで下さる方がいるんですよ
その辺りはご配慮と共に最後の一文は訂正していただけますよう願います

絹革音扇 ( 2014/02/24(月) 21:32 )