掌編小説集 - 大人の階段 〜十七の夜〜
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「ごめんな ありがとう…」

「大丈夫」

「その… 初めて…やから」

 朱里が顔を赤らめて呟く。

(うわっ、可愛い!こんな娘と今から…)

「それじゃ…」

「う、うん……」

 ベッドに座る彼女へにじり寄り髪を撫で下ろし、朱里の唇に唇で触れた。

 息が続く限りの長いキス。こんなにも全身が熱くなる様なキスは初めてだった。唇を離せば2人の口の間に銀色の橋が架かっていた。

「はぁ……はぁ……亮…すごい…」

 朱里が息を切らせ頬を薄朱色に染める。

「朱里…(めっちゃエロい顔やん)」

 名前を呼びもう一度唇を重ねる。今度はお互いの背に手を回し抱き合う形になりベッドに倒す。

 また息苦しくなりキスを止め互いの服を脱がせ合う。
朱里がオレの服を脱がせ上半身裸になる。今度はオレが朱里の服を脱がし、ブラに手を伸ばした時その手が止まった。

(え…?フロントホック……)

 想定外の状態に焦りが生まれる。

(多分これやんな…)

 なんとなくでホックを外す。

「……あんまり見んといてや。恥ずかしいやん……」

「ハハハッ」

 胸元に手をやり隠す素振りを見せる朱里が可笑しく思わず吹き出してしまった。

「なんで?」

「ごめん、今さら?」

「あ…… そうやんな…」

 納得した様に降ろしたその手を握り締め、朱里の胸に手を添え動かした。

「……んっ」

「あっ……」

 手を動かす度に朱里の吐息混じりの甘い声が上がる。

 その声にオレの愚息も限界寸前になった。

「あ、朱里…」

「……どうしたん?」

「ちょっと待ってな……」

「…うん」

 朱里に背を向けベッド下からゴムを取り出した。

(あ、あれ……?)

(こっちが表か?…いや)

「……大丈夫?亮」

「ご、ごめん。もうちょっと待ってて…」

 朱里に話しかけられ焦りながらも装着することが出来た。

(よしOK…?)

(これでいけんのか?萎えてダルッダルやけど)

「ごめん。お待たせ」

「うん… じゃあ…」

「…あ、やっぱ…ちょっと待って」

「…ん?」

「…それがさ、緊張したんかな?ちょっと…萎えてさ」

 かなり恥ずかしいが自分の状態を打ち明けた。

「あ…」

(ヤバ、黙ってもうた)

「えっと……じゃあ…」

「…朱里がさ…口でしよか?」

「えっ!?」

「そこ座って」

 朱里に促され下を脱ぎベッドの端に座った。

「じゃ、…やるね」

「あ、うん…よろしく」

 朱里が跪きオレの愚息を咥えた。

(うぉ!……ん?)

 朱里が口を必死に動かす。

(ん?……痛っ!)

 朱里の動きに会わせ痛みが走る。

(痛っ…)

 口を動かす度に歯が当たる。

(え〜、痛いだけで気持ち良くないやん)

「……ろう?」

 おそらく上目遣いで朱里が"どう?"と訊いてきた。

「うん…もう大丈夫やで…」

「ホンマ?よかった」

(さっきのはぐっと来たけど……萎えたまんまやな…)

 朱里が再びベッドに上がる。

「亮……?」

「んじゃ、続きしよか」

「…うん」

(ま、入ればなんとかなるか)





絹革音扇 ( 2013/12/25(水) 11:45 )