星に願いを
03 承
 ほどなくして集合場所に会場行きのバスが到着し、メンバーたちが乗り込んでゆく。

「どーしたの?乗らないの?」

「え?あ、乗るよ」

 考え事をしていたら心配されて声をかけられてしまった。

『……グズと言う言葉がぴったりだな』

 またしても後ろから小バカにする声が聞こえ、振り返って睨み付けた。

「ご、ごめんよ」

 実際にはたまたま歩いてきた人の良さそうなおじさんを睨んでしまう結果となり謝らせてしまった。

「あっ!違います。すみません…」

 誤解を解くため必死に頭を下げ、逃げる様にバスに乗り込んだ。そんな私を見て高笑いを響かせる男により一層苛立ちが増していく気がした。


 いつも以上に憂鬱な気持ちのままバスが走ること数十分、握手会の会場に到着した。

「…ねぇ」

 一番最後にバスから降りた私は傍らの男に話しかけた。

「やっぱり名前教えてよ」

『……なぜだ?』

「呼び名がないと不便だからよ」

『……マクハリ』

 男は吐き捨てるように名乗った。

「マクハリ…ってここの名前でしょ!」

 私が文句を言っても腕組みし、口を真一文字にするマクハリを見てこれ以上の追求は無意味だと言うことを悟った。

「……わかったわ、もう聞かない。ま、よろしくね!マクハリ」

 アイドル全開の笑顔を向けてもマクハリは鼻で笑うだけの反応を示すだけだった。









 握手会が始まり、私のいるブースにもファンの方たちが列を作っている。

「ふぅ…」

 私は息をつき両手でパチンと頬を叩き気合いを入れた。




 いつもと変わらぬ握手会と思っていたが、今日は何かが違う…。マクハリと言うイレギュラーを除いても抜本的に違っていた。

(なんだろう?空気が軽いのかな?今日はすごく気持ちがいい)

(もしかして…マクハリのおかげ……)

 握手を終えた者たちも一様に満足気な顔でブースから出ていく。

(やっぱり……本当に…神様…なのかな)

 私は謎の男 マクハリを信じ始めていた。




■筆者メッセージ
お分かりかと思いますが名前は幕張メッセから拝借しました。


余談ですが今年の年末もここに行く訳ですが、なんと今年は初日に前田のあっちゃんが出演するとか……
AKBではなくアーティスト前田敦子をしっかり目に焼きつけたいですね(笑)

絹革音扇 ( 2013/12/17(火) 09:04 )