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「あのよ・・・さっきのウワサ、実際どこまでホントなんだ?」
店から出たオレはホクホク顔のタケルに問いかけた。
「さぁな。聞いただけだし。何よりウワサだからよ」
なるべく、素っ気ない言い方をしたつもりだったが、タケルは片方の口角を吊り上げて振り向いた。嘲るような笑いではなく安心した時に見せる笑い方だ。
「興味持ったか?インポ野郎」
「インポじゃねぇっての」
ニヤニヤと笑うタケルの尻に蹴りを入れながら原付のキーを回した。
なにも勃たない訳じゃない。現にさっきも勃起しかけたのだし。確かに、同年代の奴らよりかは性欲が無いのは自覚している。付き合った娘ともすぐにダメになる。その理由だって大体いつも同じ。『あんたといてもつまんないの。って言うか、性欲が無さすぎてなんかウザい』だそうだ。
正直、未だによく解らない。"性欲が無い"と"ウザい"に関連性は無い気がする。その上、手を出したら出したで拒みやがる女とは本当に解らない生き物だ。
そうは言っても、セックスの経験が無い訳じゃない。何と言うか、事務的にこなした様な気がする。大した興奮も快感もなく、ただ人体の不思議を体験しただけの気が。
「うっし!んじゃ、行くか」
原付に跨がりタケルが言う。
「どこにだよ?」
「どこって・・・解ってんだろ?」
タケルの言う通り、解っていた。その上で解らないフリをしていた。で、バレてた。
「ほら、置いてくぞ」
「待てって」
オレは、まるで保護者の様に言い放ち走り出すタケルの背中を慌てて追いかけた。