第9話
窓に叩きつける雨の音で飛鳥は目を覚ました。そして昨夜、優暉の腕の中でした小さな決心を思い出す。その時、大きな雷が鳴った。飛鳥のその口許には微かな笑みが影を落としていた。
飛鳥「ねぇ、明後日は晴れるって!」
2人は朝食を終えて、優暉と飛鳥は並んでベッドに座っていた。
優暉「どこか行きたい所でもあるの?」
飛鳥「あるよ」
優暉「じゃ、そこ行くか」
飛鳥「でも待って。1つだけ約束して?」
そう言うと飛鳥は優暉をベッドに押し倒し、優暉を見下ろす。そして、一息ついてから口を開く。
飛鳥「昨日、遊園地でベンチに座ってた時も、観覧車に乗ってる時も、未央奈のこと考えてたでしょ?」
優暉は狼狽えた。それでも飛鳥は続ける。
飛鳥「未央奈はもう居ないんだよ!どうして、どうして…」
飛鳥の声が涙声に変わった。
飛鳥「やっと、やっと私は優暉のものになれた。なのに…なのにどうして私を受け入れてくれないの?」
涙が優暉の頬に落ちた。
飛鳥「どうして過去にいる未央奈を見て、今、目の前にいる私を見てくれないの?」
飛鳥が優暉の胸を拳で叩く。
飛鳥「嘘は嫌いだって言ったよね?私を…私を見てよ!」
飛鳥は優暉の隣に倒れ込んだ。
飛鳥「嫌だよ…そんなの嫌だよ…」
優暉は「ごめん」と呟いて飛鳥を強く抱き締めてあげる以外、何もすることができなかった。部屋には雨が窓に叩きつける音と、飛鳥のむせび泣く声だけが響いていた。
未央奈の命日まであと3日ー。