01
「おう、おう、えっ、おとんが倒れた⁉」
周りの先生が俺の方を向く。
「おう、おう、わかった、すぐ行く」
電話を切った。
「佐々木校長、早退させてください」
「話は聞いていました。菜緒さんを連れてお父さんの元に向かってください」
1年2組の教室に向かった。
ガラガラガラ
高瀬先生が授業中だった。
「高瀬先生、ちょっといいですか?菜緒、帰りの準備をすぐしなさい。大阪に行くぞ」
「なんで?」
「お父さんが倒れたんだ」
「ええっ」
教室がざわつく。
「玄関で待っているからすぐに来なさい!」
教室から出る。
カバンに荷物を入れ、職員室から出て行く。
「失礼します」
玄関に向かうと菜緒がいた。
「お待たせ、行くか」
俺達は駅に向かった。
電車に乗って東京駅に向かう。
『東京、東京、ご乗車ありがとうございます』
すぐに新幹線の切符を買い、ホームに出た。乗り込むと席に着く。
「お兄ちゃん、お父さん大丈夫かな?」
「おとんは大丈夫だよ。おかんに電話してくるから」
デッキで電話をかけた。
「もしもし、おかん。今新幹線乗ったとこ。新大阪には1時半に着く。うん、駅で源さんが待っているんだな。わかった、切るよ」
電話を切って席に戻る。
「新大阪についたら、源さんが迎えにきてくれるって」
「源さんなら安心だね」
新幹線は西に向かってひたすら走る。
源さんはおとんの会社の従業員。うちのおとんは大阪で小坂金属加工という工場を経営している。従業員はおとん含め6人で、源さんは祖父の代からいて小さい時お世話になっていた。
チャンチャンチャンチャチャン
『まもなく新大阪です』
「菜緒、降りる準備しろ」
「うん」
ホームに入りドアが開く。改札を出てロータリーにきた。
見渡すと、小坂金属加工と書かれた白い軽自動車があり、そこに源さんがいた。
「源さん!」
「おお、裕翔くんに菜緒ちゃん。早く車に乗って」
車に乗ると出発した。
「久しぶりやな」
「源さん、おとんに何があったん?」
「奥さんの話によると、朝体調が悪くて風邪や思ったんやけど、社長がトイレ行こう思った時に倒れてな。救急車で運ばれたんや」
「お父さん、大丈夫かな?」
「若い頃、西校の狂犬呼ばれてた社長やぞ。大丈夫やて」
「そうやで、菜緒。おとんは大丈夫」
「そうやね」
病院に着いた。おとんは手術中らしい。手術室の前にはおかんと会社の人が全員来ていた。
「おかん」
「裕翔に菜緒、今手術中よ」
「そうか、で何の病気なん?」
「それがな…」
おかんが話そうとした時、手術室から先生が出てきた。
「手術は成功しました」
「よかった。で、何の手術なんですか?」
「盲腸です」
「へ?盲腸?」
よかった。いや良くないが、盲腸は友達が言うには簡単らしい。
「お父さんは明日には退院できますよ」
「よかったね、お兄ちゃん」
菜緒が微笑んだ。