2章
02
次の日の朝、また愛萌は朝ご飯を作っている。これが定番になってきた。いつも通り愛萌の作ったご飯を食べて、部屋に戻り準備をする。俺は準備を終えると部屋を出て学校に向かった。
職員室に入り教材を持って教室に行く。

「はーい、席に着け」

生徒たちは席に着く。号令をかけて、今日の予定を話し終了。そのまま授業をする。
そして昼休み。購買部でパン3つを買って腹を満たし、職員室で仕事をする。今日はもう俺の授業はないので課題のプリントでも作るか、そう思ってパソコンに向かう。しばらく作業していると、

「小坂先生、お茶でもどうですか?」

と宮田先生に言われ保健室に向かう。

「失礼します」

「あっ、小坂先生」

「あっ、高瀬先生」

高瀬先生が椅子に座ってお茶と煎餅を食べていた。

「どうぞ」

お茶を出されると、俺は一口飲む。

「今日3人で飲みに行きません?私、いい店知ってますよ」

高瀬先生が言う。

「そうね、たまにはいいわね。」

「小坂先生も行きますよね?」

「ええ、もちろん」

今日は暇だったので飲みに行くことにした。

ガラガラガラ

ドアの開く音がする。振り返ると、かとしと潮が立っていた。潮は顔色が悪い。

「どうしたの?紗理菜ちゃん。」

「なっちょが体調が悪いって言ってたから、連れて来ました。」

「ありがとう。熱測ろうか」

宮田先生は潮に体温計を差し出した。潮は体温を測り始める。

ピピピッピピピッピピピッ

体温計がなり、体温を確認する。

「37.5度かぁ〜、保健室で休む?それとも早退する?」

「みんなに移すと悪いから早退します」

「そう、じゃあ帰りの用意しなくちゃ。史帆ちゃん準備してきて」

「はーい」

かとしは教室に向かった。

「潮、1人で帰れるか?」

「大丈夫です。」

「無理しないの。そうだ小坂先生、いっしょに寮まで送っていってください。午後の授業もないんだし」

「ええ構いませんけど」

「じゃあ決まり!小坂先生は校長先生に報告したほうが」

「そうですね」

俺は保健室を出て職員室に向かった。職員室で佐々木校長に事情を話した。

「そうですか、小坂先生は今日はもう帰っていいですよ。」

「ありがとうございます」

俺は帰る支度をした。荷物をまとめると保健室に向かった。
保健室に入ると潮の準備は出来ていた。

「小坂先生、帰るんですか?」

「はい、校長から帰っていいと言われたので」

「そうですか、じゃあ潮さんお大事に」

俺は潮を連れて学校から出た。

「潮、寮まで歩けるか?」

「はい大丈夫です。」

「無理だったら俺に言えよ」

「ありがとうございます」

俺と潮は寮に向かって歩き出した。
潮のペースで歩いたため時間がかかった。

寮に着くと潮から鍵をもらい部屋に入る。

「ありがとうございます」

「いえいえ。先生まだいた方がいいか?」

「すこしだけお願いします」

潮はタンスからパジャマを取り出す。

「先生、着替えるから覗かないでくださいね。」

「覗かないよ」

潮は風呂場の脱衣所に向かった。 

数分後、潮は脱衣所から出てきた。水色のパジャマを着ている。

「なんか作ろうか?」

俺は潮に話しかけた。

「お願いします。冷蔵庫の物使っていいんで」

俺はキッチンに向かった。冷蔵庫を開けると一通り材料はそろっているみたいなので、野菜を使っておかゆを作る。お湯にご飯と野菜を適量入れて煮込む。お袋が俺に作ってくれた料理だ。
30分ぐらい煮込んで少し蒸らして完成だ。

「出来たぞ。少しでも食べないと元気でないぞ」

「いただきます」

潮はおかゆを口に運ぶ。

「美味しいです。先生料理上手なんですね」

「親が共働きだったから、母親から料理を叩き込まれてたんだ」

「なんかホッとします。」

「そのおかゆは母親に作ってもらったんだ。そして、妹の菜緒にも作ってあげた思い出の料理なんだ。」

「そうなんですね」

潮は時間がかかりながらも完食した。

「じゃあ潮、俺は部屋に戻るからな」

「待ってください。もうちょっとだけ、いてください」

「おう」


ジェリー ( 2020/03/26(木) 03:41 )