遠恋









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第3章
10 なみだ。
翔伍とは沢山話した。富山にいた頃に、3人で過ごした学生時代。雅史のお茶目なエピソード、翔伍の家族の話。途中からお酒も入って、笑いが絶えない夕食だった。


「翔伍は相変わらずだね」


「だろ?李奈も変わんねーな」


缶ビールを口につけて、翔伍はにんまりしている。私もグラスに口をつけながら翔伍のその表情を見る。


「雅史と李奈が付き合ったときなんて、めちゃくちゃびっくりしたよ。お前らよく2人で一緒にいたけど、こうなるとは思わなかった。お前ら、結構お似合いだったぜ」


翔伍は別れたことを知ってる。でも、そんなことは気にせずに私や雅史に接している。本当に私にとっては一番の雅史の次に信頼できる男友達。


「あ、あれ?なんでだろ…」


涙がテーブルに落ちる。悲しくなんてないのに、ぽろぽろ涙がこぼれる。


「ご、ごめん。そんなつもりじゃ」


翔伍がそばに寄ってくる。手で顔を覆って涙を隠そうとしたも、もう遅かった。


「ごめん、李奈」


翔伍のTシャツに顔を埋めていた。翔伍が私を抱きしめていた。ぎこちない左手で私の髪をそっと撫でている。


「俺、ズルいよな。お前らが別れてさ、少しだけ嬉しかった。お前らが妬ましかったんだ。だから、今度はあいつよりも俺を選んでくれるかもしれない。だから俺は、李奈のことをずっと、ずっと前から」


「だめ、翔伍。言っちゃだめ…」


翔伍の気持ちに応えられない。私はまだ雅史のことが好きだから。翔伍が私のことを好いてくれるのは嬉しいけど、でも。


「そうだよな、ごめん。お前はあいつのことで泣いてんだよな。ただの幼なじみであいつに敵わない俺が今更何言ってんだよな」


翔伍の身体が離れる。翔伍の表情と目は見たことがないくらい悲しい目をしていた。


「俺は李奈のことが好き、なんだ」


翔伍がつぶやくように言った。


「ほんとは、好きだとか付き合うとかそんな言葉じゃ表せない。でも、お前を思う気持ちは誰にも負けない。雅史と俺の関係がぶっ壊れたっていい。最後にお前だけ残れば、俺はそれでも構わない」


翔伍の言葉が終わったあとに、私は荷物を持って家を飛び出した。涙を堪えながら、荷物を持って翔伍と目を合わせることなく雅史の家をあとにした。


「ごめん。ごめんね、翔伍…」

■筆者メッセージ
もし、次の作品の登場人物を選ぶとしたら、誰がいいですか?参考にしたいです。

▽堀未央奈
▽西野七瀬
▽松岡菜摘
▽森保まどか

現在、この四人のメンバーを勉強中です笑

頑張ります。
感想お待ちしてます。
ガブリュー ( 2015/12/14(月) 22:32 )