第四話 喧嘩界神話(「Mythology of Kenka」より)
「喧嘩界」とは何か
人々が何気ない生活を繰り広げている現実世界。
ほぼ全ての人が、何の疑いも持たずに現実世界を生き
そして現実世界で死んでゆくものである。

だがしかし・・・

希に、限られたごく一部の者のみが
自らが生きるべき世界からこぼれ落ち
異質な次元を彷徨う事がある。

現実世界の至る所に存在するが
普段は見ることができない時空の裂け目。

その裂け目の先にあるモノこそが
現実世界とはかけ離れた異空間に存在する世界、喧嘩界である。

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この「喧嘩界」こそ、この物語の舞台となる後の「幻獄」である。

一方、ここで言われている「現実世界」とは、あくまで我々が生きている「この世界」のことであって、「現実界」「想像界」「象徴界」という三区分における「現実界」のことではない。

「現実界」とは、存在の真の姿であり、無数の「力」が蠢く一切の光も形もない暗黒の世界である。あらゆる存在者は、そこでは無数の「力」の組合せでしかない。アリストテレスのいう「純粋質料」の世界である。

「象徴界」とは、本当は存在しないが、存在していることにしないと我々人間が生きていくことのできない「完全な虚構」の世界であり、様々な「法」や「規則」、「理想」や「理念」、そして「燃え要素」や「萌え要素」などの虚構データベースが蓄えられた世界である。それらは「質料」を持たないので何ら具体的な「姿かたち」をとらない。すなわち、抽象的な「純粋形相」の世界なのである。

我々人間が「現実世界」だと思って生きているのは、「想像界」であり、「喧嘩界」や「幻獄」、そして「天国」や「地獄」もまた「想像界」である。ガンダムの「宇宙世紀」や「ちいかわ」の世界も「想像界」である。そこでは、「質料」と「形相」が、様々な仕方で結び付き、様々な具体的な「個物」を展開している。
 
従って、「喧嘩界」は「現実世界の至る所に存在するが普段は見ることができない時空の裂け目」と述べられてはいるものの、「現実界」のような「真の裂け目」ではなく、あくまで「この世界」と時空的に重なり、その「綻び」を通じて行き来できるような「亜空間」のひとつ、つまりはひとつの「異世界」にすぎないのである。


アメリカン・クルーソー ( 2023/11/15(水) 15:41 )