シリーズ『大論界』(5):「ゴッドストーリー〜刀葉林の叶姉妹」











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第十話 言論のスラム街
言論のスラム街(パートV)
まずはウィキペディアの記述を見てみよう。

「ヒップホップやR&B、ポップスにおけるサンプリングとは、既存(過去)の音源〔既にある楽曲〕から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。あくまで曲の一部分を引用するだけなので、基本的な歌詞やメロディーラインをそのままなぞるカバーやアレンジとは別物である。

このようにして作られた曲は多種多様の細工やコラージュが施され、中には原曲の雰囲気をまったくとどめていない曲も多々ある。一方で、メロディーラインや歌詞を大きく変えることなくほぼそのまま引用したりするだけのパターンも見受けられ、このような曲は通称「(その)まんま使い」と呼ばれる。また、元曲(元ネタ)があまりに有名な曲だったりすると「大ネタ使い」と呼ばれる。この製作技法はヒップホップから誕生し、現在では他ジャンルの音楽でもよく使われている。

また、サンプリングを知らない者が盗作(パクリ)だとインターネットで指摘し、盗作疑惑がある曲と元ネタであると思われる曲を比べて意見を聞くことにより、度々論争になる。サンプリングを行った作曲者も「この曲は○○をサンプリングしています。」と公言することがあまりないため、問題になる。」(Wikipedia「サンプリング」の項目より引用)


「サンプリング」についての記事はネット上に数多く存在するが、だいたい上と同じようなことが書いてある。


「ヒップホップ・ファンであれば、ひとまずサンプリングというものが、既存の音楽の一部を借用して新しい音楽に使用することを称したものだということぐらいは知っているだろう。借用した音をデータに変え、そのデータに基づいて再び音に復元するサンプリングの工程は、最も広く知られているところでAKAI社のMPCサンプラーのような専用機器や、PC用のソフトウェアなどを介して行われる。いわゆる「丸サンプリング」と呼ばれる、原曲の4小節以上をそのまま持ってきてループさせる手法から、原曲の一部を細かく分割した後その断片を繋ぎ合わせる手法に至るまで、サンプリングは様々な試みを介して作られていく。また、原曲の雰囲気や質感をそのまま持ち込む場合もあれば、曲のテンポや音の高さを自由に調節したり、音そのものを変形させたりする場合もある。1曲を作る上でのサンプリングの対象は、原曲のメイン・メロディライン(メロディを構成する楽器やサウンドソース)、ドラムパート(スネアドラム、バスドラム、ハイハット)、アカペラボーカルなどすべての要素を含んでおり、このように1曲だけを持ってしても、どの部分を借用するのか、どのような方法で再構成するかによって新しい曲をいくらでも派生させることができる。その対象を複数の曲に広げることにより、出てくる結果の形態がほぼ無限になるというのがサンプリングにおける最大の美学である。

サンプリングの範囲は思ったよりも広範囲に及ぶ。一般的には既存曲のインストゥルメンタル、ボーカル、リズムパートの一部のみを取ってくることだけがサンプリングだと思われているが、実際にはサンプリングの領域はこの世のすべての音を含んでいる。たとえば鳥のさえずり、風の音、波の音など、自然の音を録音して曲に使用する場合でもサンプリングが使用されているのだ。ただしこれらの音には著作権者が存在しないため、まったく問題にはならない。それならば、論争や問題が多く起こっているサンプリングはいかにして始まったのだろうか?」(Sakiko Torii 「サンプリングを語る by RHYTHMER」『BLOOMINT MUSIC』2014.02.22)


「ヒップホップでは、多くのビートがサンプリングによって作られています。

その理由は、ヒップホップの起源として「ブレイクビーツ」があるからです。

ブレイクビーツとは、2枚のターンテーブルで曲の間奏部分(ブレイク)だけを再生し続けることで、永遠にブレイクを流し続けるテクニックで、ヒップホップの始祖であるDJのクールハークが発明しました。

このブレイクビーツの上で踊るようになったのがブレイクダンスであり、このブレイクビーツの上でMCがパーティーを盛り上げるために喋ったのがラップとなりました。

つまり、既存の曲の一部を切り取ってループさせるという行為は、ヒップホップが誕生したそのときから、ヒップホップの根幹を担っていたのです。

このブレイクビーツを専用の機材(現在ではPC)を用いて製作する行為がサンプリングの始まりだといえるでしょう。」(RAq(らっく)『ヒップホップの醍醐味「サンプリング」とは?元ネタの調べ方も解説』より)


「ここまではサウンドのサンプリングについて書いてきましたが、リリック(歌詞)においてもサンプリングという概念があります。

たとえば、有名な曲の歌詞の一部や映画のセリフなどを、ラッパーが自分の歌詞の中に引用するというものです。」(同上)



小説『大論界』は、ヒップホップにおける「サンプリング」を文学に導入する試みである。

もちろん、すでに先駆者は存在する。


「ボブディランは引用や盗用が騒がれる人として知られるが、大江健三郎も、彼に負けず劣らず『あきらかな引用への偏愛』のある人だろう。いろいろな作品に引用がみられるが、たとえば、『叫び声』の冒頭で語り手が述べるのは、引用の記号はつけていないものの、サルトルの文章から引用したものらしい。

大江は渡辺一夫の言葉を指針にして、『三年ごとに対象を定めて読むということを生活の柱』とし、『その読書から次の小説への頼りになる呼びかけ』を聞いた。例を挙げれば、ブレイクの詩に支えられながら『新しい人よ眼ざめよ』を書き、ダンテの神曲に支えられながら『懐かしい年への手紙』を書き、イェーツに支えられながら『燃えあがる緑の木』を書いている。

作品の展開に必要であり、文体の多様化に役立つものとして引用がなされたらしいが、『懐かしい年への手紙』の主人公であるギー兄さんの考えや人生がダンテの引用で成り立っているように、大江の人生が引用によって成り立つものとなっていった。このことを大江自身は次のように表現している。

『私がこれから自分の生をしめくくるつもりでこれまで生きた全体をスケッチするとしたら、それは徹底して複雑な入れ子細工の箱となって、引用のなかの引用の、また引用の、という様相を呈するのではあるまいか?』

大江によれば、赤ん坊は、他人から言葉を借りて発語し、『すべての小説も詩も、他人との共有の言葉によって、つまり引用によって書かれてきた。』という。この言葉は文学創作の根本原理に間テクスト性があると指摘したジュネットを想起させる。

日本の伝統的な作歌技法として、本歌取りが知られるが、発話やテクストにはすべて、間テクスト性があって、言葉や文学作品は無から創られるものではなく、テクストの相互作用のなかから産まれるものかもしれない。」
(本の虫「随想 大江健三郎の引用論について」より)


短い文章で全く無駄がなかったので、全文引用してもうた…。本の虫さん、ごめりんこ。

ウィキの大江の項目でも同様のことが語られている。


「自作に先行文学作品からの引用を織り込んで作品世界を作り上げることに特徴がある。これは1980年代以降に顕著となる。その効果として作品中に地の文と別のテクスチュアの文を織り込むことで文体の多様化を図る。地の文章を一つの柱としたら、それと構造的に支え合い、力を及ぼし合うもう一つの柱として引用を建てて作品の奥行きを増す。という効果を狙っている。このやり方が立脚する根本の思想としては『本来、言葉とは他人のものだ』という言語観がある。大江は大学時代の恩師である渡辺一夫から作家生活をやっていく上で、三年ごとに主題を決めて一人の作家なり思想家なりをその作品のみならず、研究まで読み込むと良い、という勧めを受けており、それを実践している。その実践が上述の引用に結びついている。

引用についてこう述べている。『本当に、引用の問題はいままでの小説──少なくとも『懐かしい年への手紙』以降の自分の小説──の課題として、私の小説作法の最大のものでした。まず引用する文章と地の文章との間になめらかさも大事ですが、なによりズレがなきゃいけない。そのズレを保ちつつ、その上で精妙なつながり方をさせていく、そういう文章を作ることが文体のつくり方での主目的にさえなりました。ある詩に感銘するでしょう、その引用が一番ぴったりするように、その環境としての文章を作っていく。そういうわけですから、引用が、なにより決定的に重要な意味を持ち始めます。『懐かしい年への手紙』ではダンテですし、短篇の連作集『「雨の木」を聴く女たち』の場合は、マルカム・ラウリー。『新しい人よ眼ざめよ』ではウィリアム・ブレイクですね。『燃えあがる緑の木』三部作の場合はイエーツ、『宙返り』ではR・S・トーマスだった。』(大江健三郎作家自身を語る)」(ウィキペディア「大江健三郎」より)


そうなんですね。創作の根本原理としての「間テクスト性」。これはもちろん、大江が言うように小説だけではなく、あらゆる言論の根本原理でもある。『大論界』とは、あらゆる言論の根底にある「間テクスト性」が生成する異世界の総体のことなのだ。ただ、大江はこんな先駆的なことを言いながら、実際には、主にブレイクやダンテやイェーツというような大きな名前をもつテクストのサンプリングに終始した。それが「純文学」や「文壇」の限界である。

われわれはそんな限界を何ももたない。

「純文学」はおろか「文学」にこだわる必要もないし、『大論界』は一応、便宜上「小説」と名乗っているが、小説である必要も、なんなら「ライトノベル」である必要すらない。かといって『大論界』は哲学研究論文でも文学批評でもなく、エッセイでもポエムでも雑文ですらない。この文章で金銭を得ているわけではなく、「盗作」「パクリ」などと騒がれ、「ワケわかめ」「作者のオナニー」などと罵られたところで、失うような名誉などはじめから1ミリもない。


そんなスラム街で痩せこけた黒人が誰に見られることもなく踊っている。彼の名は「ジョー」。のちに賞金稼ぎの喧嘩師集団「五本指」の中心メンバーとなる男である。


31: マスー君◆VIPPER5.0.
2020-02-11 21:44:54
ID:efMpneXw
五本指ジョー…。
引きこもりだと、バカにされていた。
ついにネット叩きに耐えられなくなり、
自分に粘着行為をしていたとある喧嘩師Aの住所を特定。
弱みを握ったと思い込んだ五本指ジョーは、
住所特定した、564219とAを脅した。
しかし「引きこもりの戯言w」と、喧嘩師Aにはノーダメージ。
そして、ジョーへの粘着行為がヒートアップしていった。
カッとなったジョーは、自分の指を切り落とすという自傷行為に走った。
以前から自傷行為をする癖があったジョーだが、
ここまでしたのは初めてだった。
そしてジョーは、切り落とした自分の人差し指を喧嘩師A宅へ郵送。
ここでやっと、喧嘩師Aは事の重大さに気付く。
時既に遅し。
間もなくAは惨殺された。
…そして、最近、ジョーが出所した。
ジョー。出所… 所ジョージ。
今でも、とある存在を追っているという。
その対象は、誰かわからない…。

(『キャスフィ避難所』喧嘩板「卐…喧嘩界隈オフ会行ってきましたよ…卍」より)


■筆者メッセージ
ウィキ。


パクリとの違いは?ヒップホップにおけるサンプリングの本質を解析
https://standwave.jp/繝代け繝ェ縺ィ縺ョ驕輔>縺ッ�溘ヲ繝��繝帙ャ繝励↓縺翫¢繧九し繝ウ繝�/


ヒップホップにおける「サンプリング」をめっちゃ分かりやすく説明するよ
https://bemee.hatenablog.com/entry/2017/08/19/100000


サンプリングを語る by RHYTHMER
http://bloomint-music.com/2014/02/22/column-about-sampling-by-rhythmer/


ヒップホップの醍醐味「サンプリング」とは?元ネタの調べ方も解説
https://raq-hiphop.com/hiphop-music-sampling/


随想 大江健三郎の引用論について
https://novel.daysneo.com/works/episode/9f81d1df230d60cf78fca2b4a3b7314c.html


「卐…喧嘩界隈オフ会行ってきましたよ…卍」
https://jeison.biz/casphy/bbs/read.php?cate=kenka2&mode=thread&no=12808&res=31


【お笑い】粗品「これやから無料の客はあかんねん」
https://news.yahoo.co.jp/articles/f9fec1e895b005b25f0b201c3d1c07c4298513bc
 
「無料の客やないか。『いやでもギャラもらってるやん自分ら』っていう話じゃなくて。言うてるやつが、客が無料の客やないかい」
 
「金払って見に来てくれたお客さんに『手抜いてたやろ、全然オモロなかった』って言われるのは百歩譲って。それでも腹立つけど。百歩譲って『すいませんでした』って言えるけど、無料の客はあかんねん」
 
「へそ曲げるよ。損しかせえへんやんけこんなもん」


51名無しさん@恐縮です
2024/11/12(火) 11:40:00.39ID:3wSA1T0e0
テレビの悪口言ってるのか?

53名無しさん@恐縮です
2024/11/12(火) 11:40:14.58ID:PFdC/37t0
無料の消費者は有料の消費者よりも圧倒的に民度が低いからな
これは全ての事柄に共通している

142名無しさん@恐縮です
2024/11/12(火) 12:17:22.06ID: tf3 xvu0
だいぶまえにM-1で滑ったキングコングが
後々1年単独ライブ繰り返して修行してきましたみたいなこと言ったのに対して
ファンだけ集めて何の修行になるんだと返されてたっけな
アメリカン・クルーソー ( 2024/11/05(火) 16:14 )