第二章「彼らは」
05
 <20年前>

 今日も、部活終わり、一樹とともに下校の道を歩いていた京子は、思い切ってあることを彼に提案した。

「先輩、お姉ちゃんにラブレターとか書いたらどうですか?」
「は、はっ…!?」

 予想だにしていなかった言葉に、一樹も思わずその足を止め、目を丸くさせたまま彼女に問い返した。

「な、なに言ってるの、突然…」
「だって先輩、あれからすっごい上の空じゃないですか。お姉ちゃんの話題出したら、分かりやすいぐらい動揺するし」
「えっ、そ、そんな分かりやすかったかな…?」

 不安げに尋ねてくる彼に、可愛らしさを感じた京子はふふっと笑いながら答えた。

「分かりやすすぎます」
「いや…、そんなことはないはずなんだけど…」
「だから、もういっそのことラブレターとか書いてみたらどうですか?私、お姉ちゃんに渡しますよ」
「いやぁ、ラブレターはさすがに…。ね…、重たいでしょ…」

 その夜、彼は引っ越ししてから全く開けていなかった段ボールの箱を開け、そこからレターセットを引っ張り出すと、ペンを手に取り、そこに彼女への想いを記し出した。

■筆者メッセージ
お久しぶりです。なんとか天災に合わないまま、無事に2020年を過ごしている黒瀬です。
皆さんはお元気にお過ごしでしょうか。
また、ゆっくりとくだらないことでも話し合えたらと思っています。

作品に関するご意見やご感想、その他等々のコメント、お待ちしております。
黒瀬リュウ ( 2020/09/07(月) 22:46 )